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【神奈川】

「危機管理意識が欠如」 棟方志功の板画すり替え問題

県が紛失した「箱根風景」(1977年製作の図録から、県提供)

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 県が所有する棟方志功の板画がカラーコピーにすり替わっていた問題で、県が十二日に公表した最終調査報告書は、関係者の管理の甘さを厳しく批判した。ただ、報告書に盛り込んだ再発防止策の原案は「危機管理意識が欠如している」と自ら指摘した県立近代美術館に「百万円以上の美術品は原則、管理を任せる」とする内容で、実効性に課題が残った。 (志村彰太)

 この問題には所有者の県文化課、二〇一三年まで作品を保管していた県民ホールの指定管理者「神奈川芸術文化財団」、ホールから移された近代美術館が関係する。報告書は、外部から指摘されるまでコピーと気付かなかったのは、この三者が額装を外すなどの確認を怠ったのが原因と結論付けた。

 一四年四月にすり替わりを認識しながら今年四月まで公表しなかった点については「カラーコピーを県に返却すれば、県が公表などの対応を取ると考えた」(美術館)、「返却の報告を受けた記憶はなく、対応が講じられなかった」(文化課)、「ホールを捜せば見つかると考えた」(財団)との調査結果を示し、危機管理意識を欠いているとした。

 また、問題を受けて県所有の全二万点の美術品を調査したところ、「母子」(川辺外治作、五万円)、「樹のある風景」(山室紀元作、五万円)、「箱根風景」(志村計介作、九十万円)の三点(いずれも油彩画)の紛失が発覚した。

 「母子」は保管施設が耐震改修の際に廃棄したとみられ、二点は、各地の県有施設で展示する際に移動記録を作成しなかったため所在不明になった。報告書は「情報共有の不足」「記録の不備」などを挙げた。

 再発防止策は他に、「年に一回、管理状況を点検する」「台帳に作品の写真を付けて管理する」といった対策を入れた程度。「危機管理は情報共有や確認、連絡など基本的なことばかりで、あえて盛り込むことは考えなかった」(県文化課)とし、肝心の危機管理意識の醸成についての具体的記述はなかった。

 

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