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【神奈川】

川崎市立小の学校司書モデル事業 最終年度 全校配置、予算など課題

季節や月ごとに入れ替える特集コーナーの本を並べる堀さん=麻生区で

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 学校図書館の環境整備を図り、子どもたちの読書活動などをサポートする学校司書を市立小学校に置く川崎市のモデル事業(三年間)は本年度が最終年度。市が学校司書の配置についてモデル校に行ったアンケートでは、「児童がさまざまなジャンルの本を読むようになった」といった回答が寄せられた。好評のようだが、全小学校に配置するには予算などの課題もある。 (小形佳奈)

 「歴史の本にした」「これ、いい本だよ」

 十月下旬、子母口小(高津区)の図書館。学校司書の河野優子さん(49)が三年生の児童と談笑していた。学校司書になる前から図書ボランティアとして活動しており、児童の名前と顔、読書傾向などはかなり把握しているという。「河野さんを頼って廊下で開館を待っている児童もいる」と田中真喜男校長。

 千代ケ丘小(麻生区)の学校司書堀玲子さん(53)は、長女(24)が在校している時代に読み聞かせボランティアを始めた。その後、司書教諭の資格も取得。今は、調べ学習の支援や配架など「資格取得の際に学んだことが自信につながっている」と話す。

 学校司書は、司書教諭に新規購入する本を提案したり、授業のテーマに合わせて本を選んだりする。二〇一五年施行の改正学校図書館法で、配置が努力義務となった。

 市内では今回のモデル事業で配置校を毎年増やしてきた。二十一人(一校当たり一人)のうち八人が司書に関する資格を持つ。市教育委員会の担当者は「資格を持っていなくても、その学校の図書館や子どものことをよく知る人を校長に推薦してもらっており、研修も実施している」と説明する。

 一方で市民グループ「生きた学校図書館をめざす会川崎」代表で、図書館司書の資格を生かして藤沢市内の小学校で学校図書専門員(学校司書)として働く小林公子さん(60)は「専門的な知識がなければ、選書にあたることができない」と話し、学校司書に資格は必要と考える。

 文部科学省が昨年出した通知では「専門的知識及び技能を必要とするものであることから(中略)、将来的にモデルカリキュラムの履修者である学校司書を配置することが期待される」としている。

 市のモデル事業では、学校司書の配置は一回三時間につき三千円の報償で、年百五十回が上限。小林さんは「三時間では学校との打ち合わせや、開館時の常駐は難しい」と指摘する。ただ、市立百十三校に週四日・一日六時間半勤務で非常勤職員を置いた場合、年間約二億一千三百万円かかるとの試算もある。

 県内では、横浜などで全市立小中学校に非常勤を一人ずつ配置。川崎市でも、モデル校を対象としたアンケートで、児童一人当たりの貸出冊数が学校司書の配置前より伸び、「配架が工夫され、選書しやすくなった」と肯定的な声が聞かれた。

 市教委は配置を継続する考えで全校配置も検討しているが、「学校現場からは、非常勤を加配するなら少人数学級などのための教員が欲しいという声が多い。学校司書配置に多額の予算を割くのは難しいのが現状」とみている。

 

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