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【神奈川】

<2017かながわ 取材ノートから>医療的ケア児付き添い 学校に看護師常駐を

娘のリナさんを抱え、たんの吸引の準備をする小関かおりさん=宮前区で

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 医療技術が向上したため病気の新生児の命が助かり、医療的ケアを受けながら生活する子どもたちが増えている。

 川崎市宮前区の小関かおりさん(48)の次女リナさん(12)も、喉に付けた器具で呼吸し、栄養をチューブで胃に入れる。小関さんはリナさんと小学校に登校して別室に待機。教員は一日数回、たんを吐き出せないリナさんをそこに連れてきて、小関さんが吸引する。

 小関さんとリナさんを取材し、自宅で吸引する場にも立ち会った。「苦しそう」と思うと同時に、学校生活に保護者の付き添いが必須というのが妥当なのか疑問を感じた。小関さんは夫が入院し、貯金を取り崩すなどしながら生活している。付き添う必要がなくなれば、生活費を稼ぐこともできる。小関さんは「働いて長女の進学もかなえたい」と悩んでいた。

 厚生労働省の二〇一五年度の推計では、十九歳以下の医療的ケア児は十年前の一・八倍に増えたが、公立小中学校に通う子どもは保護者が付き添うケースが多い。国は昨年度、児童福祉法に支援を明記。自治体が小中学校に看護師を配置する経費の補助も始めたが、各自治体の対応はこれからという印象だ。

 川崎市の制度では希望者一人につき、一週間に最大三時間、医療的ケアをする看護師に学校に来てもらえる。ただ、これではリナさんが学校にいる間は付き添いを必要とする小関さんには時間が足りない。

 横浜市では本年度から医療的ケア児一人が通う小学校に看護師を常駐させている。小関さんは六月、これを引き合いに出して常駐を求める請願を川崎市議会に出した。

 市議会は十月、本会議で採択を決め、市教育委員会は、市教育振興基本計画かわさき教育プラン(一八〜二一年度)の素案に個別事情に応じた支援を行う旨を書き込んだ。

 今回は小関さん一人の行動が表面化したが、水面下には常駐を求める多くの声なき声があると思う。請願が出された際、インターネット上では「税金を使わせるな」などと批判的な意見がみられた。別の医療的ケア児の母親は「(常駐を望む意見を表明すれば)世間にたたかれるのでは」と不安を口にする。

 川崎市が制度をめぐって、今後、具体的にどんな提案をするのか。注視しながら取材を進めたい。 (山本哲正)

 

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