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【神奈川】

化粧で笑顔を取り戻して 「臨床化粧療法」提唱 河村しおりさん

スキンケア教室の参加者に化粧をする河村さん=中原区で

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 20代前半で難病の全身性エリテマトーデス(SLE)と診断された河村しおりさん(39)=川崎市高津区=は、震える手で眉を整えるなど化粧をすることがリハビリとなり、社会復帰を果たした。その経験を生かし、病後の外見の変化などに悩む女性が前向きになれるよう、化粧でコンプレックスをカバーする療法を「臨床化粧療法」と提唱し、普及に努めている。 (小形佳奈)

 「スティック状の美容液を塗ります」「これは役者さんが使うドーランです」

 昨年十二月下旬、中原区内のコミュニティーカフェで開かれたスキンケア教室。河村さんは、乳がんの手術の影響で肌の老化やしみに悩む女性(53)に化粧を施した。河村さんから「かわいくなった」と言われた女性は「変わりますね」と照れた笑顔を見せた。

 河村さんはこうした教室のほか、高齢者施設や病院で講座を開いたり、同区内の美容室を貸し切ったりして、見た目や肌の悩みを持つ女性の相談に応じている。入れ墨や手術痕を隠したい女性も訪れるという。

 河村さんは都内の企業で働いていた二十一歳の時、味覚異常や道路が波打つように見えるなど身体の不調が現れ、SLEと診断された。寝たきりから車いす、歩行器を経て、自分の脚で歩けるようになったが、二十代のほぼ全てを療養に費やした。薬の副作用による毛髪の脱毛など見た目の変化、病気による紅斑などが出た。

 外出前に眉を整えようとしても手が震え、髪の毛をとかそうにも腕が上がらない。社会復帰を目指す河村さんにとって、こうした動作に奮闘すること、すなわち化粧がリハビリだったという。

 二〇一二年二月から三年間、美容院などに商品を卸す知人の仕事を手伝った。「頭皮に炎症があるがヘアカラーを希望するお客がいる」といった理美容師からの相談に応じるうち「自分の経験が病気に悩む人を助けられるのでは」と思うようになった。

 化粧パフを指にはめ、リズムに合わせてほほをたたいてファンデーションを塗るなど、四十分間で化粧が完成するプログラムを考え、横浜市内の高齢者施設などで教えて回った。さらに化粧品メーカーの化粧セラピストの資格も取得した。

 普及を図り、後継者を育てるために昨年、一般社団法人日本臨床化粧療法士協会=東京都千代田区=を設立し、代表理事に。今月十六日から「臨床化粧アドバイザー」、夏には「臨床化粧療法士」の講座をそれぞれ開講する。

 SLEは完治が難しく、服薬しながら、紫外線に当たらない、傷を作らないなどの配慮をして日常生活を送る河村さん。「何の価値もないと思っていた闘病が、今の仕事に生きている。見た目に悩む女性に寄り添う人を増やしたい」と話す。

 詳細は、協会のホームページで。

 

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