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【神奈川】

小田原市の生活保護問題1年 審査14日以内8割と改善

 小田原市の生活保護担当職員六十四人が、「不正受給者はクズ」などと英文でプリントしたジャンパーを購入、着用していた問題が発覚してから一年となる。市は、職員の意識改革や生活保護審査の迅速化などの取り組みを続けている。 (西岡聖雄)

 昨年一月十七日、市は会見を開いて問題を公表した。二〇〇七年に生活保護の受給を止められた男性が職員を負傷させる事件があり、これをきっかけに職場の連帯感を高めようとジャンパーを製作した、と説明。多くの利用者に屈辱的な思いをさせ不適切だったとして謝罪し、業務改革に乗り出した。

 大きく変わったのは、生活保護申請の審査期間の短縮だ。審査の遅れは命に関わるため、生活保護法は審査を「十四日以内」と定め、各種調査に時間がかかる場合などは例外的に「三十日以内」としている。だが、小田原市では例外運用が常態化。一三〜一六年度の審査期間は十四日以内が三〜四割で、大半が十五〜三十日だった。一七年度は申請の八割以上で十四日以内に審査を終えた。

 専門家を招き、自立を助けるための職員研修も導入した。職員からは「性格や職歴など利用者の長所を生かす支援策を考えたい」などの感想が多く、意識も変わったという。

 受給者の呼称を「利用者」に変更したほか、プライバシー保護のため相談窓口の間仕切りも増設。担当職員も四人増の三十人態勢に。うち、女性職員は三人と少ないため、利用する女性が使いやすいよう増やしていく方針だ。

◆「同じ目線で接して」 20年前に門前払いの男性

「利用者と同じ目線で接してほしい」と話す五十嵐さん=小田原市で

写真

 ジャンパー問題発覚直後の昨年一月十八日、生活保護を申請して即日認められた五十嵐公明さん(73)。かつて職員の言動に傷ついた経験から、改めて「職員は同じ目線で利用者に接してほしい」と語る。

 五十嵐さんは、妊娠中の妻を乳がんで亡くし、過労による退職などの末に路上生活に。資金が尽きた二十年前、市に相談した際は「また、ホームレス来たな」「仕事を探して」などと冷たく言われ、乾パンを渡されたという。

 屈辱から「市の世話にはならない」と誓い、空き缶拾いなどをしながら河川敷で二十年を過ごした。一年前、白内障で目が見えなくなり、支援者に付き添われて生活保護を申請した。

 手術で視力は回復し、今は市内の借家に暮らす。自尊心を傷つけられた二十年前のしこりは消え、生活保護制度に感謝する一年となった。

 

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