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【神奈川】

箱根の寄せ木で新アート 玉川大生がグラフィック作品

斬新なグラフィックデザインと伝統工芸の融合を表現している展示=東京都町田市で

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 箱根町の箱根寄せ木細工をモチーフに玉川大(東京都町田市)の学生が制作した芸術作品を展示する「YOSEGI 寄木 130の魅力」が小田急百貨店町田店(同市)で開かれている。映像やCGなどを学ぶ若者が、伝統の幾何学模様に感化された新しいグラフィックデザインを提案している。(栗原淳)

 寄せ木を含む箱根細工の製作用具と製品は、国の文化審議会が登録有形民俗文化財に指定するよう文部科学相に答申している。

 玉川大は寄せ木発祥地の同町畑宿に研修施設があり、芸術学部の学生がアートによる社会貢献を実践する「プログラム型授業」でその魅力を発信することになった。

 出品したのはメディア・デザイン学科の三年生六人。タイトルの「130」は寄せ木の模様の基本パターンの数で、うち四十五のパターンをグラフィック化し、パネル展示している。

 六人は昨夏、同町でのワークショップで木片を接合してコースターを作った。小松梨恵さん(21)は「わずかなズレも許されない難しい作業だった」と振り返る。「基本図形を組み合わせる点で、グラフィックと寄せ木細工は似ている」という長浜奎介さん(21)は、「直線と曲線の使い方が絶妙」と伝統工芸のデザインセンスに目を見張った。

 黄や青に色付けしたり、箱根の山々をイメージして三角形に切り取って並べたりと、従来にはない意匠を盛り込んだグラフィック作品も紹介している。「これまでとこれからを重ねて鑑賞できる。伝統を踏まえつつデジタルならではの表現に発展させられれば」と、指導する光・環境造形作家の田中敬一教授(65)は話した。

 展示は三十一日まで。問い合わせは同学科=電042(739)8918=へ。

◆木製生活用具が源流 箱根細工

 国の登録有形民俗文化財に指定されれば、県内では初めての事例。箱根町教育委員会の担当者は「これを契機に箱根細工に注目が集まれば、技術の伝承にも役立つ」と期待している。

 箱根細工は、寄せ木細工などの土産物として現代に伝わる。町教委によると、箱根で戦国時代に作られ始めた木製の生活用具が源流。江戸時代以降、温泉地として発展する中で土産物としての需要が増え、意匠や製作技術が向上した。

 ろくろを使って器などを削り出す「ひき物」と、さまざまな色合いの木材を組み合わせる寄せ木細工のような「指し物」に大別される。幕末以降は欧米に多く輸出された。

 答申の対象は町立郷土資料館が保管するカンナやろくろなどの製作用具と、ひき物と指し物の製品計千六百七十七点。製品では器のほか、たんすやこま、仕掛けのある秘密箱などがある。町教委は今後、展示の機会を増やしていくという。 (志村彰太)

 

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