東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

古いアパート華やかに 付加価値高めて借り手↑ 

花住荘の一室の窓際に立ち「入居者が生き生きと生活できる環境をつくりたい」と話す山田佳一朗さん=宮前区で

写真

 交通の便が悪いために借り手が見つからない川崎市宮前区の古いアパートが、花壇や果物栽培を楽しめる庭付きのアパートにリフォームされた。不動産会社の関係者によると、市内ではアパートが老朽化して空き室に悩むケースがあるそうで、付加価値を高めて借り手を増やそうという試みだ。 (小形佳奈)

 このアパートは、同区平三の「花住(かすみ)荘」。木造二階建てで各階に三室ある。所有者の長男で、二階の一室を事務所として使うインテリアデザイナー山田佳一朗さん(44)は「賃貸情報サイトには小田急線向ケ丘遊園駅から徒歩二十九分とありますが、坂の上り下りがあり、歩くのはちょっと…」と苦笑する。

 アパートは生田緑地まで徒歩十分。近くに農業体験ができる農家もあり、緑豊かな地域に立つ。山田さんの実家も江戸時代から続く農家。オーナーの父真一朗さん(71)は花苗を栽培している。

 アパートは一九八二年に建てられたが、五、六年前から空き部屋が目立つようになり、現在は山田さんの事務所と一階の一室しか埋まっていない。

 山田さんは一昨年、高津区の不動産管理会社「エヌアセット」に、父も自分も本業が忙しく管理に時間がさけず、リフォームにもあまり費用をかけられないと相談。同社賃貸事業部の山下直毅部長から「農家とデザイナーという山田さんの強みを生かし、プロデュースしてみませんか」とアドバイスを受けた。

 昨春から一階の2DK(約三十五平方メートル)の二部屋を改装。それぞれ約一坪ある庭には、山田さんの実家で育てた季節の花や果物の木を植えた。花は定期的に植え替えられ、残りのスペースは家庭菜園などに使える。室内には、山田さんがデザインした、しゃれたテーブルなどの家具を借りて設置できる。

 昨年十二月、地域住民を招いて内覧会が開かれた。「花壇ができて景観が良くなった」「このような試みが地域に増えてほしい」などと好意的な反応が寄せられた、と山田さん。

 山下さんによると、高度経済成長期、東急田園都市線や小田急線の沿線で、駅から離れた農地にもアパートが建てられた。そうした物件が古くなり、空き室に悩む事例も多いという。「空き室対策で家賃を下げるのも一つの手だが、オーナーらしさや地域特性を踏まえて付加価値をアピールできれば物件価値を上げることができる」と話している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報