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【神奈川】

築90年元船具店で読書の喜びを 三浦市三崎に無料スペース

レトロな蔵書室で、「気軽に立ち寄って」と呼び掛けるミネシンゴさん(左)と三根かよこさん=三浦市で

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 レトロな街並みで知られる三浦市三崎の商店街に、築90年の元船具店をほぼそのまま活用した読書スペース「本と屯(たむろ)」が誕生した。手掛けるのは、昨年11月に逗子市から移住して、市内唯一の出版社「アタシ社」を営む夫婦。事務所を兼ねた2階建ての1階にスペースを設けて蔵書と合わせて開放し、「誰でも無料で読める。気軽に立ち寄ってほしい」と呼び掛けている。 (福田真悟)

 夫婦は、元美容師でカメラマンのミネシンゴさん(33)とデザイナーの三根かよこさん(31)。二〇一三年にシンゴさんが編集長、かよこさんがデザインを担当する美容文芸誌「髪とアタシ」を創刊し、一五年に「アタシ社」を設立。社名には、一人称(=アタシ)の視点を大切にしたいとの願いを込めた。

 その名の通り、出版物には夫婦それぞれの思いが色濃く反映されている。二十代の頃、美容系業界誌の編集に携わっていたシンゴさん。特定の成功者ばかりが取り上げられることに疑問を抱き、これまで五冊発行した「髪とアタシ」では、埋もれていた美容師の生き方や物語などを紹介している。

 かよこさんは昨年、三十代のための社会文芸誌「たたみかた」を創刊。正論同士がぶつかった時にどう乗り越えるかなど、自らが重視する根源的な問いがテーマで、初回の「福島特集」では被災地を取材するジャーナリストや識者らに話を聞いた。

 夫婦が「これまでの生き方の結晶」と呼ぶ蔵書室には、刺激を受けたさまざまなジャンルの本やマンガ、写真集が二千冊以上、アタシ社の出版物と共に並ぶ。コンセプトは「前の店主がいた頃の記憶を消さず、地域にまろやかに溶け込む」。漁具が収まっていた棚や、廃材を利用したテーブルを本の置き場にし、奥の神棚はそのまま残してある。

 オープンは不定期で、どちらかがいるときは開けるようにしている。「消滅可能性都市」に挙げられる市には、都会のように豊富な蔵書を備えた図書館はなく、新刊書店も数店しかない。「自分に合った本がないかなどの相談にも乗る」とシンゴさん。かよこさんは「子どもたちの将来や住民の暮らしに、出版社としてちょっとでも役に立てれば」と願っている。

 問い合わせはシンゴさんのメール=mineshingo@atashisya.com=へ。

 

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