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【神奈川】

<元気人@かながわ> がん患者支援団体理事長・塩尻瑠美さん(74歳)

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 がん患者とその家族を支援し、予防や治療法への理解を啓発するNPO法人「Spes(スペース) Nova(ノヴァ)」(横浜市)の理事長を務める。自らががんに侵され、寛解、再発をたどった経験から「がんは完治することはない。医師と一緒にうまく病気と付き合っていく『患者力』を身に付けて」と呼び掛ける。

■自らの経験から

 大学で心理学を学んだ後、医学部精神神経科の助手として外来患者と接したり、幼児健診の心理判定員を務めたりして経験を積んだ。五十代の初めに心理療法の研究所を設立し、夜泣きの赤ちゃん、不登校の小学生、企業のメンタルヘルスにも対応した。

 体に異変を感じたのは、大学院で哲学を学んでいた六十代半ば。校舎の階段を上り下りするとめまいを感じ、少しの飲酒で気持ち悪くなった。「年のせい」と放置していたが、腹部に圧迫感を感じるようになり、ようやく受診した。

 卵巣がんでS字結腸にも転移しており、すぐに手術を受けた。医師とやりとりをする中で「言うことを聞くだけではなく、自らも勉強して医師に働きかけないと、自分に合った治療法は見つからない」と、患者力の必要性に気付いた。

 がん患者のサロンに行くと、医師の指示に従わず、勝手に別の治療法を試してうまくいかずに悩む人や、治療方針を巡って医師の悪口を言う人がいた。医療者と患者、両方の立場が分かるだけに残念に感じた。

■交流カフェ開く

 NPO法人を設立した翌年から毎年十二月に開くシンポジウムには、同法人の顧問で国立がん研究センターがん対策情報センターの若尾文彦センター長、首都圏の大学病院などでがん治療に当たる医師らを講師やパネリストとして招く。

 昨年秋、病状説明のポイントや主治医との信頼関係の築き方など、患者力を説く小冊子を発行。先月は川崎幸病院(川崎市幸区)主催の「かわさき健康塾」で講演した。横浜、川崎市内で患者や家族、医療関係者らが交流するカフェも開く。

 「患者力は、がんに限らず、あらゆる病気の治療、さらには人間が生きていく上で必要なスキル」。疲れやすさや抗がん剤の影響と思われる記憶力・集中力低下などの後遺症に悩みながらも、県内各地を講演で飛び回る。 (小形佳奈)

◆私の履歴書

1943年 横浜市で生まれる

 66年 都内にある大学の医学部心理職助手に

2009年 卵巣がんの診断を受ける

 13年 任意団体「患者力を考える会 スペース・ノヴァ」結成

 14年 NPO法人「Spes Nova」設立

 15年 がん再発

 

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