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【神奈川】

その日のために 津波に備える <2>観光地・江の島の避難計画/五輪期間に起きたら

津波の避難ルートになっている江島神社の参道=藤沢市で

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 「避難経路を案内するのに、翻訳アプリを用意しなくちゃいけないかな」。大勢の観光客でにぎわう藤沢市江の島。両側に店が立ち並ぶ江島神社の参道にあるアクセサリー店「凸凹(でこぼこ)堂江ノ島」店長の早乙女栞(しおり)さん(27)は、外国人の姿も目立つ通りを眺めながらつぶやいた。

 一日平均一万人近い観光客が訪れる江の島は、二〇二〇年東京五輪でセーリング競技の会場になる。平日でも人であふれる参道は津波の避難ルートでもある。期間中に津波が来たら、普段よりはるかに多い人を誘導し、同時に自身の安全も確保できるのか、早乙女さんは思案を続ける。

 五輪まで二年余りしかないのに、最大の問題は期間中、どれだけの人が島にいるか見通せないこと。大会組織委員会は正式な計画を発表しておらず、東京都が以前に示した観客席数(五千)から増える可能性がある。

 観客席数が確定しないと、津波の避難計画も定まらない。期間中は組織委と市、それぞれの計画を擦り合わせて対応する。「急に大量の避難想定を出されても対処できない」(市危機管理課の亀井勝一郎課長)にもかかわらず、組織委は計画の策定時期を「大会一年前がめど」とする。

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 県は相模トラフを震源とする最大クラスの地震が起きた場合、競技会場周辺に最大一一・五メートルの津波が十二分後に到達すると想定。約四百人いる住民の避難も課題になる。江の島では六十五歳以上の高齢者が40%を超え、市平均の約25%を大きく上回る。

 二つある避難ルートはいずれも、海抜約六十メートルの頂上部にある庭園「江の島サムエル・コッキング苑(えん)」まで急な坂道を上る必要がある。観光客や住民、店の従業員など計約一万人に、五輪期間中は二千〜三千人の選手やコーチ、スタッフ、「五千人」の観客が上乗せされる。真夏の開催なだけに海水浴客らを含め、通常の倍の人間が島内にいることも考えられる。

 参道で海産物専門店を営む金子鉄一さん(76)は自分に言い聞かせるように話す。「津波が来たら避難ルートを逃げるだけ。五輪で来た人のことまで考えていられない」 (布施谷航)

 

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