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【神奈川】

その日のために 津波に備える <3>後方支援、内陸部の役割/遠野モデルを目標に

震災後すぐ、沿岸部の支援の拠点になった岩手県遠野市運動公園に並ぶ自衛隊の野営テントや車両=2011年3月25日、岩手県遠野市で(市提供)

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 自衛隊のテントがグラウンドを埋め尽くし、ヘリが空を飛び交う。岩手県の沿岸部から約二十キロ西の遠野市。東日本大震災の際、沿岸部に救援部隊や物資を送る拠点になった。

 沿岸部までヘリなら十五分。「立地条件が良い」。県職員時代、阪神大震災後の防災計画見直しに携わった本田敏秋市長は二〇〇六年、市を後方支援の要に位置付けるよう県に提案。実現はしなかったが、市は〇九年から沿岸部や近隣の八市町村と、支援拠点を遠野に整備することを独自に協議。二十九ヘクタールの運動公園を使った大規模な防災訓練も二度、実施していた。

 震災時、備えが生きた。地震のわずか十五分後に公園を開放。発生当日から自衛隊のヘリや警察車両が次々に集結した。「訓練のおかげですぐに動けた」。市防災危機管理課の佐々木伸二主幹は振り返る。

 その後、想定以上の規模の物資の整理、ボランティアの対応に追われた。人手不足を補ったのは市民。春休み中の高校生らが物資を仕分け、震災後にできたNPO法人「遠野まごころネット」がボランティアの受け入れを主に担った。多田一彦理事(59)は「行政ができないところをカバーする意識で取り組んだ」。遠野の取り組みは後方支援のモデルと高く評価された。

 神奈川県は震災後、相模トラフを震源とする地震の想定を見直し、津波の浸水域は大幅に広がった。計画では支援拠点として藤沢や横須賀など沿岸部の市が含まれるが、被災する自治体に遠野のような働きを望むのは難しい。

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 そうした状況の中、自ら動いた自治体もある。最大で十メートル超の津波が想定される藤沢市の北に位置する綾瀬市は昨年二月、遠野市を視察。その成果を基に、物資の集中に備えて災害時に仕分けと配送の協力をしてもらう協定を市内の物流会社と結んだ。ただ、市危機管理課の担当者は「市単独で対応するのは難しい。ほかの自治体とも連携しないと、乗り切れないだろう」と感じる。

 県災害対策課応急対策グループの一倉由美子リーダーは「内陸部の役割は大きい。それぞれにどういったことをお願いするか明確にするなどして、備えを強化していきたい」との考えを示すにとどまる。待ったなしの津波対策に、残された課題は多い。 (福田真悟)

 

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