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【神奈川】

その日のために 津波に備える <4>浸水区域内 横須賀・自衛隊の苦悩

仙台空港で津波にのみ込まれた車両や軽飛行機=2011年3月11日

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 相模湾に面する東京ドームおよそ二十個分の広大な土地が、太枠に囲まれている。横須賀市西部の陸上自衛隊武山駐屯地や海上自衛隊横須賀教育隊などが入る敷地は、津波ハザードマップの浸水区域にすっぽり含まれていた。

 二〇一二年、東日本大震災後の見直しを受け、県は想定される津波の浸水区域をまとめた。これにより、敷地内は沿岸部だけでなく、内陸の陸自地区までの全域が含まれることが明確になった。

 同駐屯地を拠点にする第三一普通科連隊は災害時、県から支援要請を受ける窓口になる。陸自の災害派遣における「司令塔」かつ、多くの物資と人を運べる高機動車や大型トラック、がれきを取り除く重機を使う「即応部隊」でもある。

 救助する側が被災する−。自衛隊には苦い記憶がある。七年前の三月十一日、仙台空港(宮城県名取市など)が津波にのまれて自衛隊機もしばらく離着陸できなくなったほか、航空自衛隊松島基地(同県東松島市)が水没。支援に使えたはずの航空機十八機が全滅した。

 その教訓を踏まえ、司令塔としての機能を果たせるよう、通信機器やパソコンの一部を津波が届かない建物の四階に移した。車両や重機は「津波が来る」と判明し次第、敷地外の標高の高い場所に移すことを検討している。

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 ただ、時間の余裕がなかったり道路が混雑していたりすれば、優先するのは隊員の命。車両などは諦めざるを得なくなる。「当初の対応は若干遅れるかもしれない」。陸自出身で、救助要請する側の県安全防災局の岡崎勝司参事官は懸念を示す一方、「座間にも部隊があり、最大クラスの地震が起きれば自衛隊は全国で十万人規模で活動する。応援が来るはず」と考える。

 とはいえ、大規模な地震であれば被害は各地に広がり、応援をどれだけ得られるかは不透明。駐屯地の敷地全体のかさ上げも検討するものの、工事が大規模になりすぎて、現実的には難しい。災害派遣担当の駐屯地幹部は「持てるだけの装備品を持って救助に向かうのが自衛隊」と強い使命感を示すが、抜本的な対応策は見つかっていない。 (福田真悟)

 

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