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【神奈川】

「あの日」語り、未来へつなぐ 津波で次女亡くした元中学教諭が鎌倉で講演

スライドを使って震災当時を振り返る佐藤さん=鎌倉市で

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 東日本大震災による津波で、宮城県石巻市立大川小学校六年だった次女みずほさん=当時(12)=を失った元中学校教諭佐藤敏郎さん(54)の講演会が十日、鎌倉市の鎌倉女子大大船キャンパスで開かれた。

 同小では、みずほさんを含め児童七十四人が犠牲になった。二〇一三年に「小さな命の意味を考える会」を立ち上げ、各地で講演活動を続けている佐藤さんは、自らや被災地の子どもたちの七年を振り返り「支援のお返しは、自分ごととして気付いてもらうこと」と発言。いつ、どこで起きるか分からない津波への警戒を怠らないよう呼び掛けた。

 昨年あたりから、津波の映像を見るのがつらくなってきたという佐藤さん。「あの日のことは胸の中にあるだけなら、ただの嫌な思い出。でも、語ることは未来を語ることになる」と話し、当時を振り返った。

 地震発生後、教諭は児童をすぐに避難させず約五十分、校庭にとどまらせた。その後、安全と思われた裏山ではなく、川近くの小高い場所へ向かい、途中で津波にのまれた。

 佐藤さんは「(状況に応じた)組織としての意思決定ができなかった」と指摘し、「マニュアルも訓練も、想定外の時に役立つものでなければ。例えば、災害時に欠かせないトランシーバーをいつでも手に取れる場所に置くなど、日頃から習慣づけておくことが大事」と訴えた。

 さらに「防災とは、あの日聞けなかった『ただいま』を必ず言えるようにすること。何が何でも帰りたい家庭、地域をつくることは防災でもある」と語った。 (北爪三記)

 

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