東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

学生の研究を地域の財産に 開成町民に卒論発表

学生の発表を聞く町民ら=開成町で

写真

 足柄地方と周辺の自然や文化などをテーマに書いた卒業・修士論文を、大学生らが開成町延沢の町民センターで発表した。発表会は、学生の研究を地域の財産にしようと市民団体「小田原・足柄を主題にした学生の卒業論文に学ぶ会」が二〇〇九年に開始。節目の十回目は、六十五人が耳を傾けた。

 発表会を始めたきっかけは、学ぶ会代表で、酒匂川の氾濫対策として町に残る「かすみ堤」の保存に取り組む井上三男さん(73)が〇八年、卒論のテーマを探していた学生と出会ったこと。井上さんは、かすみ堤や酒匂川について説明。翌年には会をつくり、学生に論文発表の場を提供するようになった。

 「町内に大学はなく勉強になる」「地域に関心を持つ学生が増えるので続けて」と好評で、論文が地元の小学校や高校の授業で使われたこともある。「卒論は一般の目に触れにくいので有益」と学識経験者七人が協力。郷土史家や火山学者らも詰め掛け、学生に質問を浴びせる。社会人になった元発表者四人も運営に携わっている。

 今年は初の中国人留学生を含む五人が、四テーマで三十分ずつ発表した。神奈川大の大学院生は、江戸時代の嘉永小田原地震後、素早く復興した理由を説明。東京電機大の二人は、一〇年の台風9号の一・七倍の雨量だと、土砂や流木で酒匂川上流にできる天然ダムが決壊し、六時間後に足柄平野が冠水するというシミュレーションを示した。

 これまでに十二大学・大学院の学生四十四人が発表。井上さんは「過去の論文をデータベース化したい。発表会が全国に広まってほしい」と話した。 (西岡聖雄)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報