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【神奈川】

<元気人@かながわ> 「ボーズバー」開催 神奈川区の僧侶・阿部信仰(しんごう)さん(52歳)

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 横浜市神奈川区三ツ沢上町にある妙深寺の僧侶として檀家(だんか)を回る傍ら、お酒を飲みながら気軽に語らえる「ボーズバー」を二〇〇六年から毎月一回、開いている。

■先代の夢を

 大学時代はバンド活動に熱中し、コンピューター関係の仕事に興味があった。しかし、ある日、東京都内の寺で僧侶をしていた父親に声を掛けられた高齢者が生き生きとした笑顔を浮かべるのを見て、「人を励ます仕事」の魅力を知った。

 大学在学中に出家。妙深寺の現住職と一緒に修行をした縁で、同寺の僧侶になった。檀家回りをする過程で見えたのは、それぞれ悩みを抱えながら暮らす人の姿。「子どもが仕事を辞めた」「息子が会ってくれない」。一人一人からじっくり話を聴き、心に寄り添い、励ますよう心掛けた。

 ただ、働き盛りの世代や子育て中の世代と触れる機会が少ないのが気になった。生活に追われ、寺に足を運ぶ時間も習慣もない人とどう関わればいいか−。そこで考えたのがボーズバー。発想の基にあったのは「寺に若者を呼んでバーをやりたい」という、亡くなった先代住職の夢だった。

 仏教の教えを説きつつも、聴く側に回ることが多い。「悩みを打ち明ける人は少しで、たわいない話がほとんど。まずは、何でも話を聴いてくれる人がいると知ってもらえたら十分」

■被災地でも

 岩手県大船渡市で一三年六月から二年半余り、月命日の十一日にボーズバーを開いた。復興の支え手になった多くの被災者が訪れた。悩みに向き合う中で、一人の被災者が口にした「よそ者だから気持ちをはき出せた。救われた」という言葉が強く印象に残った。

 当時は、がれきなど目に見える傷痕が消えつつあった時期。しかし、心の中は先行きへの不安でいっぱい。第三者に、内心にしまい込んだ弱音を吐ける「よりどころ」の大切さに改めて気付いた。

 妙深寺のボーズバーは百二十回を超えた。最近は子連れの女性も訪れる。常連も増えたが、「初めて来ました」という人が毎回いるのが何よりうれしい。

 ◇ 

 次のボーズバーは三十一日午後六時から。参加費は三ドリンク、つまみ一品付きで千円。問い合わせは同寺=電045(321)7682=へ。 (加藤益丈)

◆私の履歴書

1965年 東京都練馬区で生まれる

 85年 大学在学中、東京都渋谷区の乗泉寺の僧侶になる

 96年 妙深寺の僧侶になる

2006年 ボーズバーを始める

 13年 岩手県大船渡市でボーズバーを始める

 

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