東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

「銭湯展」で展示中の戦前の月刊誌 実は貴重な資料だった

企画展で展示されているツムラタイムスと東亜薬報=横浜市中区で

写真

 横浜開港資料館(横浜市中区)で開かれている企画展「銭湯と横浜 “ゆ”をめぐる人びと」で展示されている戦前の月刊誌が、発行元にも保管されていないものであることが分かった。同館の吉田律人・調査研究員(37)は「銭湯を学術的に研究する上で貴重。内容を分析し、戦前の銭湯文化をひもといていきたい」としている。 (志村彰太)

 月刊誌は、漢方薬大手ツムラの前身「津村順天堂」が発行していた「ツムラタイムス」(一九二五〜二八年)と、後継誌「東亜薬報」(二八〜三九年)。同館を運営する市ふるさと歴史財団の羽毛田(はけた)智幸学芸員(39)が、インターネットで古書店が販売しているのを見つけ十冊購入。うち五冊を展示している。

 企画展を訪れたツムラと、同社から浴用剤部門を分離した「バスクリン」の社員が「現物を見たのは初めて。社内にもない」と驚いたという。吉田さんが国会図書館などの蔵書を調べても、所蔵している図書館は見つからなかった。

 ツムラによると、月刊誌は各号約一万六千部を発行し、東京都内などの薬局に配布。戦時中の言論統制で廃刊になり、四五年の東京大空襲で日本橋にあった会社に保管していた分も全て焼失した。

 月刊誌には、津村順天堂が販売した国内最初の浴用剤「浴剤中将湯」について「町村では一カ所、都市部でも一部の銭湯でのみ販売する」と記してあるほか、薬学博士による漢方薬の紹介、書き下ろし小説などを掲載している。政治経済に関連する記事も多く、キリスト教思想家の内村鑑三の寄稿が載った号もある。

 バスクリン広報の石川泰弘さん(55)は「戦前の銭湯は、牛乳を浴槽に入れるなどして独自性を競っていた。浴剤中将湯も限られた銭湯に販売し、特別感を演出したのではないか」と話した。

 企画展は四月二十二日まで。入館料は一般二百円、小中学生百円。問い合わせは同館=電045(201)2100=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報