東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

裁判員「状況証拠そろってた」 川崎転落死 被告に死刑判決

公判終了後、記者会見する裁判員=横浜地裁で

写真

 川崎市幸区の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」の転落死事件の判決公判で横浜地裁は二十二日、死刑の結論を導き出した。「状況証拠がそろっていた」「極刑もやむを得ない」。裁判員や、殺人罪に問われた元職員今井隼人被告(25)のかつての同級生らは口々に述べた。(加藤豊大、梅野光春)

 公判終了後、裁判員二人と、欠員が生じた場合に途中から加わる「補充裁判員」一人の計三人が地裁で会見。裁判員の大井裕貴さん(22)は「明確な証拠がほとんどなく、有罪にしていいか不安だった」と振り返り、「捜査で初めに事故と判断されたからか、(現場の)写真が少ないと感じた」と指摘した。

 補充裁判員を務めた六十代男性は「有罪とするのにふさわしい状況証拠が出ていた」と主張。四時間半にわたって再生された取り調べ時の録音・録画についても「自白の信用性を考える上で参考になった」と評価した。

 今井被告と同じ高校で、一年時に同じクラスだった男性会社員(25)はこの日を含め三回、傍聴した。被告は逮捕前後の取り調べで殺害を認め、公判で否認に転じた。「話す内容に一貫性があれば判決も違ったかもしれない」と推測する。

 一方で「被害者遺族に対する反省の態度が見られなかった。二十五歳で未来を閉ざされる判決になったが、やむを得ないと感じてしまう」と述べた。

◆表情変えず「人ごと」/最後まで具体的な反論なし

 なぜ今井被告は、法廷では「やっていない」と主張した犯行を捜査段階で認めてしまったのか。その理由を知りたいと思い、二カ月に及んだ公判の多くを傍聴した。

 法廷で今井被告は、ほとんど表情を変えなかった。証人尋問のさなかに弁護人の隣でメモを取り続ける姿は、自身の公判なのに人ごとと思っているかのようだった。自白した理由を検察側に厳しく問われても「取調官に圧迫があった」と台本を読むように、淡々と繰り返した。

 公判で再生された取り調べの映像中、「本当のことを言うしかない」と、手ぶりを交えて犯行時の状況や心境を詳細に語った姿とは対照的に映った。

 無期懲役の判決が確定しながら再審無罪になった足利事件など、取り調べ段階の自白を根拠に有罪とされた冤罪(えんざい)もある。だが、本人の口からは最後まで、起訴内容に対する具体的な反論は聞けなかった。(加藤豊大)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報