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【神奈川】

地酒で棚田復活に一役 大井町の井上酒造 「夢高尾」完成

夢高尾の酒米が栽培された棚田の前に立つ井上さん=大井町で

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 1789(寛政元)年創業の井上酒造(大井町上大井)は、20年近く耕作放棄地だった町内の棚田を復活させた農家と協力し、地酒「夢高尾」を完成させた。小田原市で同様に復活した水田で収穫された酒米を使う「左岸」を一昨年秋に発売したのに続く第2弾。休耕田解消につながる酒造りが注目されている。 (西岡聖雄)

 夢高尾の原料の酒米を栽培したのは、大井町の農家十人でつくる高尾棚田保存会。丘陵地にある高尾地区は棚田が多く、平地より維持管理に手間がかかる。農家の高齢化や兼業化で休耕田が広がっていた。

 危機感を抱いた有志で二年前、保存会を結成。地権者六人の了解を得て三十枚近い棚田計五千平方メートルで酒米栽培を始めた。保存会代表の藤澤憲吾さん(70)から相談された井上酒造が酒米を買い取り、百パーセント大井町産の夢高尾を商品化した。美しい棚田復活の夢に酔う意味も銘柄に込める。

 小田原市桑原の酒米を原料とする左岸は、メダカ保護の役割も担う。今では希少な野生メダカが地区の水田や水路にすむ。豊富な湧水で冬も水田が乾かず、素掘りの水路に生える草に産卵できるためだ。童謡「めだかの学校」を生んだ小田原の原風景を今も残す。

売れ行き好調の夢高尾

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 メダカの生息地を奪う休耕田対策として、市民団体が十数年来、周辺農家を支援。農薬を抑え、メダカの泳ぐ水田で収穫した米を農家から買って「めだか米」として売っている。休耕田を耕す別の団体もでき、酒米のめだか米を三年前から栽培。これを井上酒造が購入し、百パーセントめだか米の左岸を開発した。

 二〇〇二年からめだか米の普及に取り組む山田純さん(68)によると、活動前よりメダカは増えている。

 左岸は高級な純米吟醸酒で、四合瓶(七百二十ミリリットル)、税別千八百円。初年度は三千本が完売し、今年は三月二十六日から四千本を出荷する。夢高尾は純米酒で四合瓶、税別千二百円。二月に三千本を発売し、既に半分近く売れる人気という。ともにミネラル分が豊富な酒蔵敷地内の井戸水で仕込む。

 井上寛社長(68)は「地元食材の料理をおいしく食べてもらう食中酒を目指している。農家あっての醸造元なので、地域の農業を守りたい」と話す。問い合わせは井上酒造=電0465(82)0325=へ。

 

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