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【神奈川】

横須賀の丘陵地・谷戸地域の魅力を創作 市内在住・矢野さん、ジオラマで表現

改装した古民家で「谷戸に興味を持つ人が増えてほしい」と願う矢野さん(右)と小松さん=横須賀市で

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 丘陵地に家が並ぶ横須賀市の谷戸地域を舞台に、創作活動に取り組む若手クリエーターがいる。この春、多摩美術大(東京都八王子市)環境デザイン学科を卒業した矢野香澄さん(22)=横須賀市。卒業制作で理想的な景観を表現した作品を完成させ、古民家のリノベーションも進める。「谷戸は私の創作の原点。卒業後も関わり続けたい」と語った。 (福田真悟)

 矢野さんが谷戸に注目したのは大学三年のころ。人口減に悩む地元の横須賀市の活性化案を競う学生団体のコンペに参加し、増加する空き家を都心で暮らす人の別荘のように活用するなどの提案をして優勝した。その際、空き家問題が深刻な谷戸も巡り、狭い坂道や階段でしか移動できない不便さの一方、山の中に無秩序に家がひしめく独特な空間が「面白い」と感じた。

 「こうすればもっと良くなる、と提案したくなった」。昨年四月、景観上の魅力をさらに高める方法を考えようと卒業制作に着手。「手すりをもっと谷戸の風景になじむよう、石垣になじませた石材で作る」「尾根上に家を建てないルールをつくり、自然を前面に出す街づくりをする」といったアイデアをイラストや、段ボールや紙などで作った五十分の一スケールのジオラマで表現した。

 昨年八月には、交流拠点づくりにも乗り出した。場所は、京急汐入駅から徒歩十数分ほどの谷戸地域にある築五十年ほどの二階建て古民家。アプリ開発会社「タイムカプセル」(岐阜市)が以前、オフィスに使っていた一階部分を、横須賀市出身の相澤謙一郎社長が提供した。

矢野さんの卒業制作のジオラマ(矢野さん提供)

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 限られた予算の中、業者に頼らず同級生の小松勁太さん(23)とアイデアを出し合い、後輩や知人らの力を借りて改装を進めた。居間の畳をフローリングに替えたり、後輩のガラス工芸作家が手掛けたランプを天井からつるしたほか、映像を流せるスクリーンや芸術作品などを展示できる棚も取り付けた。

 矢野さんと小松さんは「すべてが手作り。あらゆる面で苦労した」と苦笑するが、相澤社長は「若者たちの才能あふれる空間になった」と評価した。

 今後、まだ手を付けていない縁側と庭も改装を進めるつもりだ。「工具もそろっている。谷戸で何かを作り出したい人々の拠点になって、結果として活性化につながってくれれば」と願った。

 

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