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【神奈川】

JR戸塚駅前 ヤギの「メイさん」地域の人々つなぐ 

ヤギの「メイ」と散歩しながら住民と交流する片山大蔵さん(中央)=横浜市戸塚区で

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 JR戸塚駅(横浜市戸塚区)の東口を出て右手に進むと、商業ビル「ラピス3」と線路の間の通路の突き当たりで、一匹のヤギが暮らしている。近くで働く会社員や、ベビーカーで散歩する親子連れが姿を見に足を運ぶ。昨年十一月から飼育する片山大蔵(だいぞう)さん(49)は「地域の人が集まり、交流するきっかけになって」と愛情を注いでいる。 (加藤豊大)

 ヤギの名前はメイ(雌、一歳二カ月)。片山さんがビルの管理者に掛け合い、木材で手作りした二・五メートル四方の小屋に住む。毎朝八時から一〜二時間ほど片山さんと散歩。それから午後四時まで、この小屋で誰でも見学できる。来訪者向けに、メイに食べさせるキャベツも用意している。

 片山さんは、駅東口で五十年続く喫茶店「モネ」を経営する傍ら、住民参加のコンサートを駅前で開くなど街づくりも関わる。その経験から「地元の人同士の交流が希薄になったのは、きっかけがないだけでは」と考えた。さらに区内では二〇一五年、当時十五歳の少年が母と祖母を刺殺する事件が発生。「子どもたちに命の尊さを教えたい」との思いも強まった。

 そこで思いついたのがヤギの飼育。都会では珍しいが、おとなしい性格で臭いも少なく飼いやすい。「自然と人が集まり、会話を生む機会になる。いずれ死を迎えれば、命を考える契機になる」と福島県北塩原村の業者から購入した。

 手応えは既に感じている。朝、駅東側を流れる柏尾川沿いを散歩すると、通勤途中の人や学生が「メイさん、おはよう」と頭をなでていく。「昔は牛乳の代わりに、飼っていたヤギの乳を飲んでいたよ」と振り返る高齢の男性の話で、その場にいた人たちが盛り上がったこともあった。小屋の前では「職場で話題になり、こんなところにいるのかと半信半疑で見に来た」と明かす会社員もいた。

 地域の人たちに受け入れられてきたメイ。片山さんは「高齢者に散歩をお願いしようとも考えている。今後さらに、地元の人と人とをつなぐ役割を果たしてくれれば」と願っている。

 

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