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【神奈川】

<元気人@かながわ> 日本郵船歴史博物館の学芸担当・小川友季さん(31歳)

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 水を得た魚のように、船の魅力を語り出すと止まらない。「客船は、航海を快適に過ごす設備がコンパクトにまとまり、大海原の上の小さな町のようだからいい。貨物船も好き。飛行機に目を奪われがちですが、海外との物流は今も船が主役。服の生地や食料など暮らしに必要な物を運び、縁の下で社会を支えている」

■クルーズが原点

 大学在学中に家族と二週間、地中海をクルーズし「船ってすてき」と感じた。もともと歴史好き。当時は弥生時代の土器や埴輪(はにわ)を研究していた。大学院で考古学を続けるか悩みつつ就職。コンテナ船関連の事務を担当した後、歴史と船を扱う職場に異動した。「興味を持って取り組める部署」と笑顔を見せる。

 日本郵船は一八八五(明治十八)年の創業。海運大手として成長を遂げるが、太平洋戦争では軍に徴用された百八十五隻の船と船員を失う。こうした日本近代史に深く関わる同社の歴史を日々、ひもといている。

 史料を扱う時は、いろいろな制約がある。筆記するなら鉛筆に限る。ボールペンは、誤ってインクを付けると消えない。シャープペンシルは、折れた芯が史料のどこかに紛れ込む危険がある。

 史料を傷めないよう、指輪などのアクセサリーも禁物。「髪が長ければ結ぶとか、マニキュアはダメとか…。私も以前はそれなりの格好をしていたんですが」と苦笑交じりに話す。

■五輪とリンクを

 戦前の船内の食事メニューや海外代理店で展示した客船模型など同館所蔵の史料約四万点の管理のほか、外部からの問い合わせにも応じる。「出番を待っている史料がある。研究者からリクエストがあれば、スッと出せるようにしたい」

 二十二日まで同館で開催中の企画展「グランブルーの静寂」を担当。戦時中に徴用され、西太平洋のチューク(旧トラック)諸島付近に沈む「平安丸」を取り上げた。沈船ダイビングの人気スポットになっている平安丸と、山下公園(横浜市中区)に係留される姉妹船・氷川丸との対比に焦点を当てた。

 次は、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックを見据える。かつて各国の選手は客船で開催国に向かった。「船に乗った人々のドラマと、今の話題がリンクした展示を」と案を練っている。 (梅野光春)

◆私の履歴書

1986年 東京都武蔵野市に生まれる

 99年 光塩女子学院中等科に入学

2002年 同高等科に進学

 05年 明治大文学部に入学し、考古学を専攻

 09年 郵船コーディアルサービス入社。コンテナ船関連の事務を担当

 12年 日本郵船歴史博物館の学芸担当に

 

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