東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

<町の資料館 かわさきを歩く> 光触媒ミュージアム(高津区)

光触媒を使った空気清浄器の模型について説明する青木智子さん=高津区で

写真

 光を当てるとにおいが消えたり、汚れが落ちやすくなったりする不思議な作用「光触媒」。来館者は、その効果を体験し、技術を生かしたさまざまな製品を見学できる。生活を便利にしている技術の仕組みを、子どもからおとなまで楽しみながら学んでもらおうという施設だ。

 光触媒を発見したのは、文化勲章受章者で川崎市名誉市民の藤嶋昭さん(76)。学生当時に人工的に光合成させる仕組みを研究していて見つけた。水を水素と酸素に分解するだけでなく、水になじみやすくなる特性が、さまざまな製品に応用された。ミュージアムで展示する応用製品は百種類以上に上る。

 県立産業技術総合研究所のかながわサイエンスパーク(KSP)の中にあるミュージアムを訪れると、受け付けや説明を担当するパートの宮田美智代さん(42)が出迎えてくれた。

 「反対側からにおいをかいでみてください」。宮田さんがにおいのついた空気を透明な筒に送り込んだ。筒の内側には光触媒コーティングを施した蛍光灯が入っている。筒の反対側に鼻を近付けてかいでみると、においは弱まっていた。光触媒によってにおいの成分が分解されたためだ。この効果は新幹線の車内の喫煙ルームにも応用されており、模型が館内に展示されている。

 中庭にあるのは白いテントの布地だ。光触媒コーティングを施したものは白色を保っているが、そうでないものは灰色に汚れていて、並べると一目瞭然だ。他にも館内には、住宅の外壁用タイルに水をかけて汚れの落ちやすさを見比べたり、スタンプに紫外線を当てると消えていくさまを見たりできる。

 光を当てただけなのに、なぜだろう−。館内を巡るうちに素朴な疑問が芽生えた。同研究所研究支援グループで広報を担当する青木智子主査(43)は「そう思ってくれる子どもが一人でも増えてくれたら」と話した。訪れるのは年間約五千人で、二〇〇四年の開館以来十万人以上が訪れた。来館者は子どもから企業の技術者まで幅広い。

 専門的な問い合わせには同研究所の研究者が対応するが、知識量がそれぞれ違う子どもたちに理解してもらうのは難しい。さまざまな作用を見せたり体感してもらったりすることで、科学への興味を持ってもらうことを狙っているという。

 入り口近くには子供向けの絵本が百冊以上置かれている。きっかけは何でもいいから、ミュージアムに足を踏み入れてほしいと考えた藤嶋さんが私費を投じた。青木さんは「科学の不思議を感じた子どもの中から、未来の研究者が生まれてくれたらすてきなことです」と期待を込めた。 (大平樹)

     ◇

 川崎市内には個性的な資料館や博物館がたくさんあります。その一部をこれまでにも紹介してきましたが、今回再び、三回にわたり紹介します。連休中、足を運んでみてはいかがでしょうか。

<光触媒ミュージアム> 高津区坂戸3の2の1、かながわサイエンスパーク西棟1階。東急線溝の口、JR武蔵溝ノ口駅徒歩約15分。同駅前から無料シャトルバスもある。開館は土日祝日を除く午前10時〜午後5時。4月28日から5月6日の大型連休中の開館日は1、2の両日。問い合わせはミュージアム=電044(814)5096=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報