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【神奈川】

潜伏キリシタン遺物 世界遺産登録勧告 大磯の「澤田美喜記念館」も期待

澤田が収集した潜伏キリシタンの遺物が並ぶ館内=大磯町で

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 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関イコモスが今月、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本県)を世界遺産に登録するよう勧告したのを受け、澤田美喜記念館(大磯町)にも喜びが広がっている。同館は潜伏キリシタンの遺物を展示。注目が集まることで、迫害や虐殺が続いた苦悩の歴史を改めて知ってもらえると期待している。 (布施谷航)

 同館は三菱財閥創始者・岩崎弥太郎の孫で、熱心なキリスト教徒だった澤田美喜(一九〇一〜八〇年)の遺言に基づいて八八年に設立された。澤田が戦時中から九州の島々などを巡って収集した潜伏キリシタンの遺物であるマリア観音像や踏み絵、十字架など約千点の史料を所蔵している。

 澤田が潜伏キリシタンの存在を初めて認識したのは三六年。後に初代国連大使を務める外交官で夫の廉三と米国から日本に向かう途中、客船の図書室で本を読み、信徒の苦難を知った。帰国後、調査と収集を始めた。

 そうした活動の一方、英国に住んでいた時に孤児院を訪れた経験があった澤田は戦後の混乱期、駐留軍人と日本人女性との間に生まれた混血孤児を支援しようと決意。四八年に大磯町に児童福祉施設「エリザベス・サンダース・ホーム」を設立した。

 周囲の理解が得られず、混血孤児への差別や偏見もなくならなかった中で晩年、「(潜伏キリシタンの遺物が)失望と悲嘆と涙と怒りの時、光と希望と忍耐を与えてくれた」と、心の支えになったことを明かしている。

 勧告を受けた潜伏キリシタンの遺産は信徒が暮らした集落や、現存する国内最古の教会で国宝の大浦天主堂(長崎市)などで構成する。正式登録は六〜七月の見通し。同館を訪れる人が増えると予想され、西田恵子館長は「展示を通じて澤田の人物像にも注目してもらえる」と話した。      ◇

 入館料は大人五百円、中学生以下無料。六十五歳以上と大学・高校生は四百円。原則月曜休館。十九日午前十一時からは、キリスト教と茶道のつながりを伝える「十字架のお茶会」が開かれる。十六世紀に日本に伝わったキリスト教のミサの様式が、茶道の作法に影響を与えていることを紹介。十字架が彫られた十六世紀の茶道具も展示する。参加費千五百円(入館料込み)、定員二百人。申し込み、問い合わせは同館=電0463(61)4888=へ。

 

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