東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

「かわさきMOVEART00隊」来月設立10年 民間施設ロケ、受け入れ順調

昭和電工川崎事業所の建物内で照明などをセットするロケ隊=川崎市川崎区で

写真

 川崎市内で行われる映画やテレビドラマのロケで、制作側から依頼されて利用施設との交渉にあたるなどしてきたNPO法人「かわさきMOVEART00応援隊」が八月、設立十年を迎える。民間施設へのロケ受け入れが順調な一方、市からの委託費が減って人件費のやりくりに苦労するなど運営上の課題もある。 (小形佳奈)

 「本番です。よーい、スタート」「カット」。カチンコの音が響く。カメラの角度を変えて同じ演技を再び。照明担当やカメラ助手が、機材やコードを手に慌ただしく動き回る。

 川崎区扇町の昭和電工川崎事業所には、五年前まで事務所だった昭和六(一九三一)年築の建物=国登録有形文化財=がある。六月下旬、ここでタレント恵俊彰さん主演のドラマ「はぐれ署長の殺人急行4」(TBSで九日放送予定)が撮影された。

 栃木・日光が舞台という設定で、建物に「栃木県政会館」の看板が掲げられ、階段の踊り場では、恵さん演じる日光中央署長と、俳優長谷川初範さん演じる警察幹部らとのやりとりが収録された。

 同事業所総務部渉外担当部長補佐の博田豪さん(71)によると、映画「九転十起の男2」(二〇〇七年公開)の撮影以降、年間を通じロケの申し込みがあるという。一昨年夏に大ヒットした映画「シン・ゴジラ」では、ゴジラが事業所のプラントそばを通過する様子が映し出された。旧事務所の応接室は米国防総省高官の部屋になった。

     ■

「栃木県政会館」の看板が掲げられた建物入り口

写真

 ムーブアート応援隊は、制作会社などからロケ利用の依頼を受け、施設との交渉や現場管理、利用料収受にあたる。

 〇八年、市が「ロケ地川崎推進事業」などを始めたのに合わせ同年八月、市内の映像関係者らが設立。一一年度から同事業を委託されている。

 民間施設の利用が好調な一方、公的施設はどうか。事務局長の寺川香苗さん(56)によると、市役所第三・第四庁舎(川崎区)はよく使われる。ただ、レトロ感から人気だった市役所本庁舎が一六年に建て替えのため閉鎖。それ以降、市が直接管理する施設でのロケ件数が減ったとの理由で、市からの委託費が減少したという。

 寺川さんは「第三・第四庁舎などは休日しか使えないため、撮影に立ち会えば、平日に代休を取る職員の代わりがいる。問い合わせやロケハンにも対応しており、現状では人件費もまかなえない」と、件数重視ともいえる市の姿勢に疑問を呈す。

 多くの市施設が休日にしか利用できないことについては市民文化局映像のまち推進担当・国田早苗担当課長も「使いづらいかもしれない」とみる。最近も連続ドラマで市立病院の使用を打診されたが、撮影が長期に及ぶため断った。

     ■

「シン・ゴジラ」でも使われた建物内の応接室で、「同じ部屋でも作品によって全く違う設定になるのがおもしろい」と話す博田さん

写真

 寺川さんによれば、市庁舎を撮影に貸す自治体は今、各地に広がっているという。街おこしが狙いで、川崎も「新たな取り組みをしないと、取り残されてしまう」と危機感を訴える。国田課長も「綾瀬市や栃木県足利市は官民挙げてロケを受け入れているが、川崎は例えばロケ隊の駐車台数が限られるなど、スペースの問題もある」と、都心の自治体ならではの悩みも挙げる。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報