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【神奈川】

<かわさき市民健康の森>春日台公園・たちばなふれあいの森 高津区 地域で受け継ぐ「丘」と「森」

ホタルを放つ用水路と竹林を見やる宮寺さん=高津区で

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 古代武蔵国橘樹(たちばな)郡の役所跡が発掘され、市内で初めて指定された国史跡が広がる川崎市高津区千年。一帯の里山では、「高津区市民健康の森を育てる会」が、竹林から竹を切り出して竹炭を作ったり、ホタルを川に放流して鑑賞会を開いたりしている。活動は多岐にわたるが、会長の宮寺貞文さん(71)は「昔から人が手を入れて山の木々を育ててきた。自分たちも次の世代に引き継ぎたい」と話す。

 同会が活動するのは、「丘」と呼ばれる春日台公園と、「森」と呼ばれるたちばなふれあいの森の計七・三ヘクタール。いずれも第三京浜道路のすぐ東側に位置しているのに、木々の中に入ると静けさに包まれる。二カ所に分かれ、面積も広いだけに「夏場は、刈ってもすぐに生えてくる雑草との戦い」。宮寺さんが苦笑いを浮かべて額の汗をぬぐった。

 会は二〇〇二年に発足し、現在のメンバーは約六十人。得意分野や興味に合わせて四つの部会に分かれ、主に毎週木曜日、「丘」での畑作りや、「森」で放流するゲンジボタルの育成などに取り組む。

 森の用水路に放流したホタルは毎年五月末ごろ、竹林の斜面をバックに淡い光を放ちながら飛び交う。今年の鑑賞会は約千三百人が訪れ、地域の人気イベントになっている。放ったホタルは捕まえてつがいをつくり、卵から再び成虫を育てる。一年がかりだという。

 竹林から切り出した竹は、炭焼き小屋で竹炭にしたり、竹とんぼなどのおもちゃを手作りしたり。消臭効果がある竹炭は近隣の保育園や福祉施設に配るほか、地域でのイベントで販売する。竹のおもちゃは、子どものころの経験を生かして、中高年のメンバーがナイフで削ってつくる。

 会が重視するのは、地元との連携だ。区民祭などの地域イベントには積極的に参加。丹精したサツマイモ畑では、地元の親子に収穫を体験してもらう。会の活動は二カ月に一回発行する広報紙「森・丘つうしん」に記録し、高津区役所にも張り出す。

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 宮寺さんは区内で生まれ育った。子どものころは一帯の里山でザリガニやドジョウを捕って遊んだ。半導体の営業マンとして長く働き、定年後のやりがいを求めて同会に加わった。ホタルの育成や竹炭づくりなどは、いずれも経験したことのないものだった。「全部見よう見まね。メンバーは皆、それなりに年を取っているから、昔見たことがある人が誰かいる」。失敗もあるというが、試行錯誤を重ねるのも楽しみの一つになっている。 (大平樹)

<市民健康の森> 緑の保全や市民のコミュニティーづくりを目的に、市が各区に1カ所ずつ整備した。1998年から2001年にかけ、区と区民らでつくる委員会が、地域の特色を生かせるよう場所やコンセプトの検討を重ねて区長に提言。その後、順次開設した。区民による管理運営組織が植栽の管理や観察会などを行っている。

 

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