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【神奈川】

自転車スマホ事故で有罪 戻らぬ命「軽い判決」

事故が起きた歩行者専用道路。自転車・バイクは押すように注意を促している=麻生区で

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 自転車の運転が、人を死傷させうるとの自覚を欠いていた−。川崎市麻生区であった自転車の「ながらスマホ」による歩行者の死亡事故は二十七日、被告の元女子大学生(20)に禁錮二年、執行猶予四年の判決が言い渡された。「母の命の重さに対して、判決は非常に軽い」と遺族は訴え、自転車事故の厳罰化などで警鐘を鳴らし、被害者も加害者もつくらないよう願った。 (石川修巳、安田栄治)

 横浜地裁川崎支部で、午後一時半すぎに始まった重過失致死罪の判決公判。五十五ある傍聴席は、希望者と報道関係者で埋まり、関心の高さを裏づけていた。

 元大学生は黒いスーツ姿で入廷。江見健一裁判長と向かい合うように中央の席に座り、「禁錮二年に処する。四年間、刑の執行を猶予する」と告げられた。

 判決は、被告が少なくとも三十三秒間、左耳にイヤホンをして音楽を再生、右手に飲み物、左手ではスマートフォンを操作しながら、歩行者専用道路で電動アシスト自転車を運転していたと認定。先月あった初公判で反省の弁を述べたものの、「急いでいたことが事故原因とするなど、根本的な原因である自らの運転態度への内省は深まっていない」とも指摘した。

 裁判長「判決の意味がわかりますか」

 元大学生「はい」

 裁判長から「(執行が猶予されるとしても)有罪判決ですから」と説明された時も、「はい」とはっきりした声で答えた。

  ◇

 法廷で被害者の夫(83)と長女(49)と次女(47)は、裁判長が言い渡す判決や、その理由を厳しい表情で聞き入った。

 閉廷後に長女と次女が取材に応じ「(被告は)正しい反省の仕方はしていない。法整備ができていない以上、重い判決はできない。法律が現実に合っていない」と語った。

 被告が右手に飲み物、左手にスマホを持ち、左耳にイヤホンをしながら事故を起こしたことに、長女は「運が悪いとかいう事故ではない。彼女(被告)がつくりあげた過失によって起きた事故なので、彼女があの場にいなければよかった」と話した。

 自転車を運転する人の安全への認識が高まること、自転車事故に適用される法律が厳罰化されることの重要性を強調し、「母の死が無駄にならないように二つの点が改善され、少しでも事故の発生が減り、加害者も被害者もつくらない社会となることを願います」と訴えた。

◆市内事故1115件 24%増 17年 川崎・多摩区など「多発地域」

 川崎市内で二〇一七年にあった自転車事故は千百十五件で、前年(八百九十九件)に比べて24%増えた。県内で発生した計六千五百四十六件の17%を占める。区ごとにみると、川崎、多摩、幸の順に多い。

 県交通安全対策協議会は五月、重点的な安全対策を必要とする「自転車交通事故多発地域」として県内の十四市区町を指定。全事故に占める自転車事故の割合が「県内平均よりも三ポイント以上高い」などの地域を抽出しており、川崎市内は川崎、幸、中原、高津、多摩の五区が該当した。

 市は宮前、麻生両区に関しても、「電動アシスト自転車の普及に伴って、坂道が多い地域でも自転車がよく利用されている」と指摘。両区は自転車事故が急増しており、宮前は前年比41・2%増、麻生は34・6%増だった。

 市によると、今年一〜七月の自転車事故は五百九十七件(暫定値)で、前年同期比2・1%減。ただ、川崎区が同15・7%増となっており、歯止めがかかっていない。 (石川修巳)

 

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