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【神奈川】

「自転車は車道」が原則 「ながらスマホ」で死亡事故 教訓は

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 川崎市麻生区で歩行者が死亡した自転車の「ながらスマホ」事故は、自転車利用者に対し、人を死傷させうるという自覚を促した。自転車施策の専門家らでつくる民間団体「自転車の安全利用促進委員会」メンバーで、三井住友トラスト基礎研究所の古倉宗治(こくらむねはる)研究理事に課題を聞いた。 (石川修巳)

 −自転車の「ながらスマホ」による死亡事故が社会問題になっている。

 事故当事者の責任に帰するだけでは、背景にある問題点が見落とされてしまう。自転車は車道通行を原則としつつも、例外的に歩道通行を認める構造が長い間にわたって逆転し、歩道通行が既成事実化してしまった。車の仲間という意識が希薄になる環境だったわけで、こうしたマイナス面のツケが凝縮した形だと思う。

 車道を通る自転車は、いわば「最弱者」。ルールを守らないと自分が危険だし、車の仲間という意識も強くなる。しかし歩道では「最強者」であり、ルールを守らなくても安全という慢心を生んでしまう。自転車で歩道を通行する割合が高い人ほど、ルールを知っているのに守らないという調査結果もあります。

 −どんな対策が必要か。

 たとえば、二〇一六年にあった自転車事故のうち、自動車との事故は車道よりも、歩道上のほうが多い。主に、沿道の駐車場に出入りする車との出合い頭の事故です。

 自転車教育の内容をみると、こうしたデータや根拠に基づく説明が弱く、「ルールだから守れ」という広報啓発が多くあります。しかし、ルールは知識にとどまらず、理解につなげなければいけません。

 どんな啓発が効果的かを探るために複数のパンフレットを試作し、一五年に川崎市と東京都立川市でアンケートを実施。その結果、自転車事故で検察庁に送致された人数や損害賠償など、ルールを守らないと「自分が損をする」という説明、続いて「なぜルールを守らないといけないか」という根拠を示す説明が、ルール順守に効果があることが分かりました。

 一方で高齢層には、自転車のルール違反が歩行者から厳しく見られている実態の説明が評価されました。

このように対象者に応じて、重点的かつメリハリを利かせた啓発をすべきです。

 

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