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【神奈川】

不安、葛藤乗り越え きょう成人式 大学2年・山田さん「親は見守り、サポートを」

「誰でも気軽に、安心して集える居場所をつくりたい」と語る山田莉那さん=東京都内で

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 高校を退学し、1年数カ月にわたるひきこもりも経験した。14日、成人式を迎えるその女性は今、大学2年生。あの時欲しかった居場所を、いつか自分がつくれたら−。不安や葛藤に苦しんだ日々の中で、うっすら浮かんだ将来図を手に、一歩を踏み出し始めている。 (石川修巳)

 東京都内の大学に通う山田莉那(りな)さん(20)は、川崎市中原区で先月あったセミナーにゲスト出演した。タイトルは「本当の不登校の話をしよう」。わが子の不登校に悩む親たちが会場を訪れていた。

 マイクを握り、胸の内から出てくる言葉をそのまま伝えようと考えていた。「親から『なぜ学校に行かないの?』と言われるのが、一番悲しい。みんなと違う、道を外れてしまったと思うかもしれないけども、どうか見守って、サポートしてあげてください」

 福岡県出身。県内有数の進学校で、一学年に数%しかいない特待生だった。先生から「東大を目指せ」と言われ、勉強漬けの日々。入学後に始めた音楽活動も、すぐに辞めざるを得なかったという。

 「完璧主義で、頑固」と自己分析する山田さん。「勉強は好きなのに、どんどん自分が失われていく感じがして…。みんな生き残るのに必死で、同じ時間をともにする人も、居場所もありませんでした」

 高校二年の秋、学校をやめた。「いいよ」と言ってくれた母も、わが子を心配して苦悩していることに、山田さんも気づいていたという。けれども「何かやりたいのに、できない自分が嫌になるばかりで、仕方なかった」と振り返る。

 退学後は、リポートを提出すればいい通信制高校へ。好きな電子オルガンをひたすら弾いたり、ネイルをしたり…。生活は昼夜が逆転し、次第に家から出なくなった。

 それでも勉強は好きで、大学には行きたかったという。「考える時間はいくらでもあった。うっすらと、誰でも気軽に安心して集える場所を、自分がつくれたらいいなと思うようになって」。その一歩が、心理学などを学ぶことだった。

 「受験勉強をしていなかったから、試験まで二週間は死ぬ気でやりました」

不登校に関するセミナーにゲスト出演した山田さん(中)=昨年12月、びーんずネット提供

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 大学生になった山田さんは昨年三月、川崎市内であった「学校って本当に必要なの?」と題するセミナーに母とともに参加。居場所づくりの参考にするつもりだった。

 山田さんも発言し、かつて抱いた不安や葛藤を率直に口にした。主催したびーんずネット代表、金子あかねさんは「ぐっとくる話で、強く印象に残りました」と語る。

 実は金子さん自身も、わが子の不登校に悩んだ親の一人だった。「子どもを信じて見守っていけば、きっと大丈夫」。その実感を、山田さんの姿や生の声で参加者にも伝えたくて、先月のセミナーにゲスト出演を依頼したという。

 成人の日を郷里で迎える山田さん。大学生活について記者が尋ねると、「楽しい。仲間から学ぶことが多くて、人間的に成長できたかな」とはにかみながら答えた。

 

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