東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

<元気人@かながわ>かっこいい農家に 川崎市の農業生産法人代表・山田貢さん(36歳)

写真

 東京都町田市と横浜市青葉区に囲まれた川崎市の飛び地、麻生区岡上(おかがみ)。「都市でありながらたくさん緑があって、新鮮な野菜が食べられる」と地元の魅力を語る。農業生産法人の代表。自家製ブドウだけでつくったロゼワイン「川崎ワイン」を完成させるなど、試行錯誤を重ねながら農業の魅力を発信している。

 九代続くとされる農家の長男に生まれたものの「土はあまり触りたくない。汚れるのも嫌」と苦笑いする。家業を継ぐことを求められて一時は反発。美容師の専門学校へ進み、ヘアメークの仕事に就いた。

 社会に出て働く中で思い返したのは、地元の農地が宅地として売られ、ところどころマンションになった様子だ。「このままでは、地元の良さが失われていく」との危機感から、自家製の野菜や果物を料理して提供するバーの出店を計画。調理師免許を取ったり、バーテンダーのアルバイトをしたりして経験を積み、二〇一一年に小田急線新百合ケ丘駅前で開店した。

 形が悪く売り物には適さない野菜や果物も、加工や調理すれば提供できる。一四年には農業生産法人「カルナエスト」を設立。農産物の生産(一次)から、生産物の加工(二次)、飲食物としての提供など(三次)をすべて手掛ける「六次産業化」することで、捨てる農産物はなくなった。

 バーで出すワインのことを知ろうと一四年ごろ、ソムリエの資格を取り始めた。「ワインは若い人にも人気がある。ブドウからワインをつくる農家って、かっこいいんじゃないか」。話題を呼んで農業に関心を向けたくて、川崎ワイン造りを思い立った。栽培の経験もなかったが、人づてにワイン用ブドウの苗を入手し、三年かけて実らせた。

 昨年の法改正で川崎ワインを名乗れなくなったが、今年は赤ワインが新たに完成し発売予定。来年に向けて白ワインも仕込み、赤、白、ロゼの三種類がそろう。

 岡上には変化を好まない農家も多いといい、「同じことを続けるだけでは、跡継ぎがいなくなり、宅地になってしまう」との危機感は消えない。目指すのは、子どもがなりたい職業の上位に農業が入ることだ。「農家っておしゃれでかっこいい、って思う人を増やしたい」 (大平樹)

◆私の履歴書

1982年2月 川崎市麻生区で生まれる

2000年   県立柿生高校(現麻生総合高)を卒業。大学入学後約3カ月で退学し、自動車整備工場でアルバイトを始める

 01年   美容師専門学校に入学

 03年   都内の美容室に就職。髪染めの薬品にアレルギーがあることが分かり退職

 04年   ヘアメイクの仕事をしながら飲食店のアルバイトを始める

 07年   調理師免許を取得。会員制バーや結婚式場などでアルバイト

 11年   小田急新百合ケ丘駅前でダイニングバーを開店

 14年   農業生産法人「カルナエスト」を設立

 18年   自家製ブドウのロゼワイン「川崎ワイン」を発売。即日完売

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報