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【暮らし】

目の不自由な人も自分でメイク 両手の指で左右対称に

両指に色をつけ、左右対称に口紅を塗る松下恵さん(左)。右はブラインドメイクを教えた大石華法さん=東京都内で

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 目が不自由なため鏡で自分の姿を見ることができなくても、自らきれいに化粧できる方法がある。「ブラインドメイク」と呼ばれ、両手の指先に口紅などの色をとり、左右対称に同時に動かすことでバランス良く仕上げる。考案した日本福祉大大学院生の大石華法(かほう)さん(50)=大阪市=は「化粧をすることで、社会に一歩を踏み出す自信に」と話す。 (山本真嗣)

 大阪府東大阪市の主婦松下恵さん(56)は十四年前、網膜剥離を患い、現在は両目ともほぼ全盲の状態だ。でも外出前にはいつもブラインドメイクで化粧をしている。

 乳液での肌のスキンケアからまつげのマスカラ、チーク(頬紅)まですべて自分でやり、所要時間は十五分ほど。「健常者からも『方法を教えて』と言われる」ほどの仕上がりだ。外出先で汗などで崩れても、すぐに直せる。

 失明直後は手の感覚だけを頼りに化粧をしていたが、家族から口紅がはみ出していることを指摘され、不安で外出を控えるようになった。五年前、ブラインドメイクを知り、大石さんのレッスンを受けて身に付けた。

 六月に東京都内であった製薬会社主催のセミナーで実演した松下さんは「顔を上げて道を歩けるようになった」。九年前の長女の結婚式では化粧崩れが心配で涙をこらえたが、ブラインドメイクを習得し、その後の三女の結婚式では「思い切り泣けた」。

 大石さんによると、健常者は鏡を見ながらスポンジやはけ、筆などの道具を使い、自分の利き手で顔の左右を化粧する人が多い。一方、ブラインドメイクは道具をほとんど使わない。代わりに両手と両指を使って左右対称に同時に動かすことで、目が見えなくても左右のずれやむらがなく化粧できるという。

 下地となるファンデーションは、液体のものを両手のひらにとって温め、両手を合わせて均一にのばした後、ゆっくりと顔に押し当てる。眉や目元のアイシャドーとアイライン、口紅、チークは両指先に色をとり、擦り合わせて均一にした後、左右対称に塗っていく。ポイントは「左右で同じ動き、速度、力で」。マスカラはまつげの周囲に色が付着しないように、上下のまぶたにテープをはる。

 大石さんは「一度身に付ければ、歯磨きや耳かきと同じで、鏡を見なくても手指の触感覚で簡単にできる。両手で左右同時に化粧できるので、通常の半分の時間で済む」という。

 考案したのは大阪市職員として福祉部門で働いていた八年前。ボランティアでガイドヘルパーについた三十歳ぐらいの視覚障害者の女性から、化粧がしたくてもできないと聞かされた。同じ女性として何とかしたいと思い、鏡を見ずに何度も自分で練習し、ブラインドメイクの方法を確立した。

 二〇一四年には、知人の視覚障害者らと任意団体「日本ケアメイク協会」を設立。講習会や、有料の個人レッスンを通して化粧法を伝えている。ブラインドメイクを社会福祉の一つとして広めようと二〇一三年に日本福祉大大学院に入り、研究を続けている。 

 七月三日午後七時から相模原市の「杜のホールはしもと」で実演がある。千円。問い合わせは、大貫さん=電090(8081)4743。

 ブラインドメイクは、日本ケアメイク協会にメール=info@caremake.jp=で。

 

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