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【暮らし】

認知症カフェ 定着手探り チラシを配布、参加者増

どら焼きの皮を焼くカフェ参加者を見守るスタッフの壱岐円さん(左)。体験型の催しなどで、参加者集めを計画している=愛知県大府市で

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 全国に増えている認知症カフェ。医療や介護にたずさわる人や、家族介護の経験者らが運営し、認知症の人や家族らが悩みを語り合っている。ただ、カフェによっては参加者が集まらず、運営方法に悩んでいるところも少なくない。 (出口有紀)

 「最近は一組しか来ない日が続いている。今日は人が来てくれるかな」。愛知県大府市の「あんずカフェ」で、看護師熊谷貴子さん(45)が心配しながら開店を準備していた。

 四月から月一回、勤務先の精神科病院の敷地内にあるデイサービス施設で、職員の有志らと開いている。初回は、知人のケアマネジャーらが声を掛けてくれたこともあり、二十人ほどが来たが、定着していない。

 認知症や介護の悩みは職員らが聞くことはできても、「来る人が少ないと、参加者同士で語り合えない」。市広報に開催情報を載せてもらったり、イベント会場でチラシを配ったりしたが、客足は伸びなかった。

 このため九月に、同県東海市であった認知症カフェの主催者らが集う会に参加。「予約制がよくないのか」「チラシを刷るのにもお金がかかる。どこで配るといいのか」などと質問。さまざまな主催者から「行政の広報や回覧板は見ない人も多い。老人会などで直接一人ずつに配るといい」などと教わった。

 十月の開催に向け、チラシはなるべく手配りし、当日でも参加できるようにした。講座形式だった催しは、参加者が体験できるものに変えてみた。その結果、病院系列の通所リハビリ施設の利用者や近くの認知症患者と家族らが十二人集まった。

 認知症の妻(68)と参加した大府市内の男性(69)は、どら焼きの皮作りに挑戦。妻が上手に皮をひっくり返すと、男性は笑顔になった。男性は、市が認知症の人や家族に配信するメールマガジンで開催を知った。「ここは少人数なので入りやすい」と感想を語った。

 熊谷さんとともにカフェを運営する理学療法士の壱岐円(いきまどか)さん(46)は、十二人が集まったことを喜びながら、「介護保険サービスを利用していない人たちを含め、気軽に集まれるカフェにしたい」と意気込んだ。

◆地域に根差した活動に

 参加者が集まらないといった悩みの背景には、月一回など定期的に開くカフェが全国的に多く、地域住民に認知されるまでに時間がかかることがある。デイサービスなど通所している人は日程が合わなかったり、体調や精神状態によって行けない場合もあるとみられる。

 「地域の困り事をつかみ、どういうカフェを目指すか考えることが大事」。全国三十カ所のカフェを取材した医療ライター、浅岡雅子さん(63)=埼玉県鶴ケ島市=は話す。昨年十月、ガイド本「魅力あふれる認知症カフェの始め方・続け方」(翔泳社)を出版し、開設や運営の方法などを紹介している。

 浅岡さんによると、効果的に人集めするには、高齢者が多い内科医院などに依頼し、付き添いの家族にチラシを配ると良い。「口コミで評判が広がっていくこともあるので、地道に続けてほしい」。運営に助成金を出す自治体もあるので、事前に調べるといいという。

 厚生労働省によると、全国のカフェは二〇一五年度に二千二百五十三カ所。「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」では、一八年度から全市区町村に配置される認知症地域支援推進員がカフェを企画する目標を立てている。

 

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