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【暮らし】

<ストップ プール事故> 文科相「飛び込み禁止検討」

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 水深の浅い学校プールに子どもが飛び込んで首などを骨折する重傷事故が相次いでいる問題で、十六日に開かれた衆院文部科学委員会で松野博一文科相が、高校の授業での飛び込み禁止を検討する姿勢を示した=写真。事故が起きれば学校側は損害賠償や刑事責任を負う可能性があり、法律の専門家も「授業での飛び込み指導を見直す時期に来ている」と指摘する。 (細川暁子)

 文科委員会で松野文科相は、七月に都立高で高三男子が授業中に水深一・一メートルのプールに飛び込んで底に頭を打ち首を骨折した事故について「大変、遺憾」と言及。事故はデッキブラシを掲げた教師が、それを飛び越えるよう生徒に指示して起きたことをふまえ、「今回の不適切な指導事案を取り上げるなど、事故防止のポイントを分かりやすく示して注意喚起する」と述べた。

 また「学習指導要領を改定して、高校の授業で飛び込みを禁止することについてはいかがか」と質問した初鹿明博議員(民進党)に対して、松野文科相は「高校の学習指導要領改定については現在検討が進められている。水泳指導における飛び込みの取り扱いについては実施状況を教育委員会から聴取し、水泳指導の有識者の意見を交えた上で検討する」と答弁。高校授業での飛び込み禁止を検討する姿勢を示した。

 水深が浅い学校プールの飛び込み事故は全国で多発しており、名古屋大の内田良准教授(教育社会学)の調べでは一九八三〜二〇一四年度の三十二年間で障害が残る事案は百七十二件発生。そのうち三十一件が高校の授業中に起きた。

 一九九九年には、都立高校で高一男子が水面からの高さが約四十センチのスタート台から、水深一・二メートルのプールに飛び込み、頭を打って死亡。男子生徒の身長は約一八〇センチで、体重は約九〇キロもあった。

 男子生徒の両親はプールの安全性の不備と教員の指導不足が原因だったとして、都を相手に一億円の損害賠償を請求。裁判所は、学校側には生徒に事前に危険性を説明する義務があったなどとして、都に約四千四百万円の賠償を命じた。

 この裁判を担当した虎ノ門協同法律事務所(東京都港区)の望月浩一郎弁護士は「スイミングクラブと異なり、学校では水泳指導に関して専門教育を受けていない教員が多い」と指摘。「水深の浅い学校プールを使った授業で安全な飛び込み練習を求めることは、教師にも生徒にも無理を強いることでしかない」と話す。

 文科省はホームページでも公表している「水泳指導の手引」で、危険な飛び込み例=イラスト参照=を示すなど、これまでも注意喚起を促してきた。だが子どもが犠牲になる事故は、毎年数件起き続けている。

 学校事故に詳しい法律事務所アルシエン(千代田区)の高島惇弁護士によると、公立学校で事故が起きた場合は国家賠償法が適用されるため教師は賠償責任を負わない。裁判になったときに被告となって賠償金を支払うのは自治体だ。一方で、私立校の場合は教師と学校が賠償責任を負うことになる。

 「公立私立を問わず教師の指導や監督がずさんで事故が起きた場合は、刑事告訴される可能性もある。教師がそこまでのリスクを負って高校の授業で飛び込み指導をする必要があるのか、見直す時期に来ているのではないか」と指摘する。

 

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