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【暮らし】

<空き家を生かす!!>実家の将来、売却か相続か 親自身が早めに決断を

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 高齢の親だけで暮らす実家は、親が亡くなると空き家になって、人口減少に直面する地方都市では、売るに売れない事態に陥る可能性が高くなる。実家を空き家にしないために、専門家は「現時点でいくらくらいで売却できるか調べ、親自身が売るかどうかを早めに決断するべきだ」と指摘する。 (白井康彦)

 「実家を空き家にしてしまうと、後々大変だとの認識を親子でしっかり共有してほしい」と語るのは、空き家問題にくわしい不動産コンサルタントの長嶋修さん(49)=東京都渋谷区。「話し合うには、親族が集まるお正月が最適です」

 長嶋さんによると、空き家は都市部でも増えており、人口減少が顕著になる今後はさらに急増する。東京都心部から三、四十キロ圏内のベッドタウンなどでも厳しい状態になりかねないという。

 親の死後、空き家の所有者になった子どもは固定資産税を負担しつつ、空き家が荒れ果てないよう管理し続けなければならない。

 長嶋さんは、空き家の処分に悩む人からの相談をよく受けており、「実家が空き家になりそうでも、子どもからは言い出しにくい。親は自分がいなくなった後を考えてあらかじめ手を打っておくのがベスト」と話す。

 実家の活用法としては▽親が亡くなった後に親族のだれかが相続して住む▽買い手がいるうちに早めに売却し、親は転居する−などが考えられる。

 親族が住む場合は、その地域から勤務先に通えるのかや、子どもの教育環境などが検討項目になる。売却する場合は、親の年金収入に見合った転居先を確保できるのかという点や、転居先に知り合いがいないと出歩くことが減って認知症のリスクが高まること、墓や仏壇などの管理が問題となりそうだ。

 長嶋さんは「地方都市の中古物件はどんどん売りにくくなっており、できる限り早く売ろうと動いた方が有利。地元の不動産業者はいくらくらいなら売れるかといった情報を知っています」と相談を勧める。

◆買い主探し、地縁が力に

 「家の所在地など売却条件が比較的良かったのは確かだけど、息子や娘が空き家を抱えて困る事態を回避できて良かった」

 自宅を売却し、名古屋市内のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で二月から一人住まいをしている男性(87)は笑顔を見せる。

 以前住んでいたのは人口約五万人の中部地方にある都市。JRの駅から約一・五キロ離れた住宅地にある築四十年の一軒家に住んでいた。昨年六月に妻が亡くなり、一人暮らしになったことで食事に困るようになった。

 「男子厨房(ちゅうぼう)に入るべからずという言葉通りに暮らしてきたので、自分で料理ができず、足腰も弱ってきてしまった」

 このままでは、要介護状態になってしまう−。そう心配した名古屋市内に住む娘が、転居できそうなサ高住を見つけてくれたが、気がかりは自宅が空き家になってしまうこと。

 そこで、地元に知り合いが多い男性自身が、家を探していそうな知人に声を掛けたところ、「娘の家として買いたい」という返答があった。

 自宅にある仏壇は車で四十分ほどのところに住む息子が引き取り、墓の見守りもしてくれることになって、引っ越しの障害はなくなった。

 男性は「地元で暮らしている私が探したので、買い主を見つけられた。息子や娘では難しかっただろう」と想像する。男性によると、この地方都市では中心部でも空き家が目立っており、「不動産会社に依頼したとしても、売れたかどうかは分からない」という。

 

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