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【暮らし】

新出生前診断 重い選択 染色体異常の場合、夫婦へ手厚い支援を

出生前診断の相談にも応じている水戸川真由美さん(左)

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 妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新出生前診断が揺れている。カウンセリングをせずに認定施設外で検査を行ったとして、日本産科婦人科学会(日産婦)は医師三人を処分。一方、流産のリスクがなく検査できるため、二〇一三年四月の開始以降で受診者は三万人を超えた。妊婦とその夫の選択は−。 (新西ましほ)

 東京都内に住む女性(35)は昨年七月、認定施設で新出生前診断を受けた。病院で案内されるまで検査を知らず、高額な費用に「必要ない」と思った。だが、四歳上の夫が「高齢で経済的な問題もある。リスクがあるなら知りたい」と強く希望。二度のカウンセリング後に検査を選んだ。

 結果は「染色体異常の可能性は低い」。女性は「カウンセリングを受けたことで、検査で分かる障害はほんの一部だということや、他の障害があって生まれてくる可能性も分かった。障害がある子を育てるということに、初めて夫婦で向き合えた」と話す。

 埼玉県内に住む女性(37)は、不妊治療を経て待望の第二子を授かったばかり。先日、医師から検査の案内を受けて以来、仕事や家事が手に付かないほど悩んでいる。「もし病気があっても絶対に産む」。そう決めていたのに、夫は「将来、長女に負担がかかるのではないか」と検査を主張。検査ができる期間は限られているが、結論は出ないまま日が過ぎていく。

 日本ダウン症協会の理事を務める水戸川真由美さん(56)=東京=は、出生前診断に関する相談も受けている。「夫婦二人で決めるには重い選択。遺伝カウンセリングだけでは不十分で、経験者による手厚い支援が必要」と実感する。

 染色体異常が分かった妊婦に、ダウン症や障害のある子の子育て経験や産前産後のことを話している。妊娠の継続か中断か、どちらかを勧めることはない。「どんな命にも意味がある。私は子どもから大きく育ててもらい、たくさんのものを与えてもらった」。相談者には、そんな思いを伝えている。

 診断を行うのは妊娠初期。「十分に考える時間もないまま選択を迫られる。妊娠前から検査についてきちんと知り、考える必要がある」と語る。

◆日産婦が指針

 出生前診断にはさまざまな手法がある。このうち新出生前診断は、技術的には採血だけで高い精度の検査が可能だ。このため、安易な人工中絶につながらないよう、日産婦は(1)日本医学会が認定した施設だけで行う(2)施設は妊婦や家族が検査の意義などを理解した上で意思決定できる「遺伝カウンセリング」を行う(3)出産時に三十五歳以上など妊婦に条件を求める−という指針を設けた。

 しかし、こうした指針を無視し、英国の検査会社と提携して新出生前診断のあっせんを行う民間業者もある。

 日本医師会や日産婦など五団体は、こうした認定外施設での検査中止を求める共同声明を出した。産婦人科以外の医師にも指針を守るよう求めている。

<新出生前診断> ダウン症候群など三つの染色体異常を高い精度で調べられる。開始から3年間で3万615人が受診し、547人が陽性と判定された。その後の羊水検査で染色体異常が確定した417人のうち、94%にあたる394人が人工妊娠中絶を選択した。

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