東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

歯磨き中事故 5年で215件搬送 転ばぬ先「曲がる歯ブラシ」

先端が曲がる歯ブラシを持つ産業技術総合研究所の西田佳史さん=東京都江東区で

写真

 子どもが歯磨き中に喉を突く事故を防ぐために開発された「曲がる歯ブラシ」が注目されている。歯ブラシをくわえたまま転倒するなどして、喉に突き刺さる事故は1〜2歳児を中心に多発。専門家らは先端部分が曲がる歯ブラシを使うことで、けがの抑止につながると期待している。(細川暁子)

 先端部分を押すと、グニャリと曲がる子ども用歯ブラシ。歯ブラシメーカー「DHL」(大阪府八尾市)と、国立研究開発法人「産業技術総合研究所」人工知能研究センターの西田佳史さんが技術提携し開発した。

 東京消防庁によると、二〇〇九〜一三年の五年間で喉やほおに歯ブラシが突き刺さるなどして歯磨き中の子どもが救急搬送された事故は二百十五件発生。うち一歳が九十九人と最も多い。西田さんが消防庁のデータを詳しく分析したところ、歯ブラシを口にくわえたまま歩いたり、走ったりして転倒した子どもが全体の約七割を占めていた。転んだ場所は布団の上が多く、イスから転落して喉に突き刺さった例もあった。

 西田さんが一歳の子どもを想定して、重りを付けた歯ブラシを落下させる実験をしたところ、立ったまま歯ブラシをくわえて転んだ場合、子どもの喉には約八十キロの負荷がかかることが判明。喉に見立てて使った鶏肉には歯ブラシがグサリと突き刺さってしまった。

 こうした喉突き事故を防ぐため、同社が持ち手の首部分に弾力性の高いゴムを使った歯ブラシを開発し、西田さんが安全性を検証。万一歯ブラシをくわえたままま転んでも、喉にかかる負荷を十分の一程度に抑えられるようにした。商品は「まがるハブラシ」と名付けて一五年六月から一本五百五十円前後でネットを中心に販売。ゼロ〜三歳用と三〜六歳用の二種類があり、これまでに計十二万本を売り上げた。

 八尾市の新門(しんもん)歯科医院では、半年前から「まがるハブラシ」を販売している。新門正広医師は、「習慣づけのために一、二歳の子どもが自分で歯磨きすることは大事だが、思わぬ事故も起きやすい。先端が曲がることで親も安心して使うことができ、奥歯にもしっかりと届くため磨き心地も問題ない」と話す。

◆都も安全対策提言 座らせ見守るのも大事

 子どもの歯磨き中の事故多発を受け、東京都は昨年7月に消費生活問題の専門家や医師、メーカー関係者による有識者会議を設置。今月14日には先端が曲がるなど歯ブラシを喉に届きにくい構造にして、安全対策を強化するようメーカーに提言する報告書をまとめた。国に対しても、子ども用歯ブラシの安全基準設置を促している。

 報告書では保護者が注意すべき点として、子どもの歯磨きは親が見守りながら座って行わせることや、踏み台やソファの上など不安定な場所で行わせないことなどをあげている。こうした中、ライオン(東京都)は15日から従来の子ども用歯ブラシ「クリニカKid’sハブラシ」を改良し、先端が曲がるようにして販売を開始。ゼロ〜2歳用と、3〜5歳用の2種類があり、全国のドラッグストアなどで200円前後で販売している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報