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【暮らし】

<空き家を生かす!!>団地利用の分散型サ高住(上) 幅広い世代との交流魅力

サ高住に転居し、着付け講師を続けるなど生き生きと生活する落合美江さん=東京都板橋区の「ゆいま〜る高島平」で

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 老朽化が進んだ団地の空室を、サービス付き高齢者住宅(サ高住)に改装する取り組みが進んでいる。サ高住は、高齢者が集まって生活するのが一般的だが、団地の空室を改装するため高齢者だけが生活するのではなく、幅広い年代のコミュニティーに高齢者が溶け込んでいきやすいのが特徴。東京と名古屋で始まった「分散型サ高住」といわれる新しい形の住宅や地域を訪れた。 (白井康彦)

 東京都板橋区の高島平。分散型サ高住があるのは、高層マンションが林立する二十三区内の人気居住エリアのひとつ。駅から徒歩十分ほどにある都市再生機構(UR)の団地の一棟が、そのサ高住だ。十一階建て全百二十一室のうち四十二室が改装された。いくつかのフロアにまとまっているのではなく、各フロアに点在する。二〇一四年に「ゆいま〜る高島平」として入居が始まった。

 この棟は築四十五年。高齢者向け住宅を運営する「コミュニティネット」(東京都千代田区)が、URと二十年間、部屋を借りる契約を結んでいる。部屋はいずれも約四十三平方メートルで、以前は家族向け2DKだったが、一人暮らしや夫婦のみの高齢者向けの、ゆったりした間取りの1DKや1LDKに生まれ変わった。全国各地から、頻繁に視察者が来ているという。

 サ高住は、六十歳以上を対象としたバリアフリーの賃貸住宅。一一年の高齢者住まい法改正で誕生した。高齢者向けの施設ではなく住宅で、看護や介護の事業所がテナントとして入居するのが一般的だ。入居者は家賃と共益費、利用したサービス費を払う。有料老人ホームと、入居待ちの多い特別養護老人ホームの隙間を埋める形で人気を集め、全国で二十一万戸超が整備されている。

 ゆいま〜る高島平では、トイレや風呂に手すりが設けられており、室内に段差はない。安否確認や生活相談といったサービスも提供される。入居者には、携帯電話に似た形の端末が配布されている。緊急時にコミュ社のスタッフに連絡できる。

 スタッフは昼間、隣の棟にある事務所に常駐し、生活相談や、病院、介護事業者の紹介などもする。夜間などの緊急時は、警備会社が対応する。

 一五年六月に入居した一人暮らしの落合美江さん(70)は「ここを選んでよかった。子どもたちが遊ぶ声が聞こえてきますし、いろいろなところに行きやすくて便利です」とほほ笑む。

 落合さんは夫とともに、二十年前に都内から栃木県那須町の一戸建てに引っ越した。しかし、十年後に夫が病死。愛犬も三年前に死に、寂しさを感じていたところ、このサ高住のオープンを知り、入居を決めた。

 家賃は一人暮らしの場合、月九万円台。周辺の同じ程度の家賃のサ高住と比べると、かなり広めだ。落合さんは、安否確認などのサービスを利用しているが、その利用料や共益費と合わせても十四万円弱。「国民年金や遺族厚生年金で何とかやっていけます」と話す。

 入居前は、もとからの住民と親しくなれるかどうか気にする人も多いが、落合さんは「団地に卓球クラブがあり、週に二回は幅広い年代の人たちと楽しんでいます」と笑う。着物の着付け講師をしながら、週に一回、世田谷区の大学のオープンカレッジにも出掛けて健康づくりを学び、充実した生活を送っている。

 コミュ社広報室の村岡鮎香さんは「団地の自治会に入っていただくよう、お勧めしています」と、サ高住の入居者が団地に溶け込めるよう気を配る。

 

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