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【暮らし】

ヒュッゲ しない? デンマーク人の幸せ 大切な人、温かい時間

自宅のまきストーブの前で読書するイェンス・イェンセンさん=神奈川県鎌倉市で

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◆イェンセンさんに聞く

 気の置けない人たちと、ゆったり心地よい時間を過ごす−。そんな状態を意味するデンマーク語「ヒュッゲ」が欧米で注目されている。英国では関連書籍も大ヒット。ヒュッゲとは何か、日本でもできるのか−。デンマーク出身で、日本在住十五年のイェンス・イェンセンさん(40)に聞いた。(竹上順子)

 「僕はヒュッゲは『時間の流れ』だと思う。和む、楽しい…そんな時間。幸せに近いかな」。神奈川県鎌倉市の自宅で、イェンセンさんはお茶を入れながら説明した。名詞も動詞も、形容詞もあり、デンマーク人が「異常に大切にする」コンセプトだそうだ。

 イェンセンさんが子ども時代のヒュッゲの思い出は、夕食後のひととき。午後六時からの夕食を終えると、家族五人でリビングに。ニュース番組を見る父親のそばで母親や二人の兄たちとおしゃべりをして、コーヒーとケーキを楽しんだ。

 「そこにキャンドルや、まきストーブがあると、よりヒュッゲ。火や明かりといった『温かさ』は大切な要素。外でたき火を囲むのも好きですね」。誰かと一緒でなくてもいい。「一人で読書もヒュッゲです」

 イェンセンさんは「日本にもヒュッゲはあります」と話す。例えば、こたつに入りミカンを食べること、みんなで鍋を囲むこと、温泉につかること、障子越しの明かりを楽しむこと。

 だが忙しい生活で、そうした時間は失われがちだ。そう言うと、イェンセンさんは「いきなりは難しくても、こういう考えがあると知り、意識して時間をつくるだけでも違うと思います」。

 「ヒュッゲをすると気持ちが落ち着いて、自分の考えや、やりたいことをまとめる時間が取れる。余裕が生まれ、仕事も早くなりますよ」。ヒュッゲを小さな「休み」ととらえ、リフレッシュや再充電の効果を実感した上で、「仕事でも一週間くらい休みを取ってみては?」と提案する。

 イェンセンさんによると福祉に手厚いデンマークでは、会社や仕事を最優先にする人は少数派。家族との関係や、ともに過ごす時間を大切にする。普段から終業後は早く帰宅、夏休みも最低二週間は取るという。

 英米でのブームは、忙しさへの疑問の表れとみるイェンセンさん。ただ、現在は「こういうインテリアや品物がヒュッゲ」といった商業的な色合いが強いことを残念がる。「本当はどんな国や文化にも、ヒュッゲはあったはず。もっと本質に目を向け、気持ちを大切にしてほしい」

 ゴールデンウイーク後半は、自宅や近所で、家族や友人たちとゆっくり過ごすのもよさそうだ。

 <イェンス・イェンセン> ロンドン大で日本語と言語学を専攻し、2002年から日本在住。在日デンマーク大使館職員などを経て独立し、現在は日英のメディアに執筆。自らリノベーションした古い一軒家に妻の万理子さん(37)と9歳、6歳の息子と暮らす。著書に「イェンセン家のホームディナー」(文芸春秋)など。

◇「スケーエン」展28日まで

 19世紀末〜20世紀初めのデンマークの自然や人々の暮らしが描かれた作品59点を集めた「スケーエン:デンマークの芸術家村」展が、東京・上野の国立西洋美術館で、28日まで開催中。

 

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