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【暮らし】

満員電車で失神 リスク見極めて予防 心臓疾患が原因なら早期治療を

失神外来で男性患者の話を聞く古川俊行・聖マリアンナ医大講師=3月、川崎市で(個人情報保護のため画像の一部を加工しています)

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 満員電車などで人が突然意識を失い、倒れてしまう失神。多くは命に関わるものでなく、生活の工夫で再発をかなり防げるという。しかし、放置すると危険で早期治療が必要なタイプもある。そうした高リスクの失神を見逃さないことが大切だと専門家は強調する。(吉本明美)

 一般に「気絶」や「脳貧血」とも呼ばれる失神は、何らかの原因で血圧が急に低下するなどして、意識をつかさどる脳の血流が一時的に減るために起こる。倒れて頭が低くなると脳に血液が行き渡りやすくなるので、通常は数分以内に意識が戻る。倒れた際にけがをしなければ後遺症もない。

 米国の研究によれば、失神の発生率は年間千人当たり六人程度。日本の人口にこの発生率を当てはめると、国内でも年間七十万人以上が失神している計算になる。「決して少ない数字ではない」と、聖マリアンナ医大東横病院(川崎市)の失神センター長、古川俊行講師(循環器内科)は話す。

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 古川さんによると、失神には三つの代表的なタイプがある。最も多いのが「反射性失神」。自律神経の一時的な変調が原因とされる。次が不整脈など心臓の病気による「心原性失神」、立ち上がるとすぐに起きる「起立性低血圧」もあり、これも自律神経に関係する。

 このうち、高リスクとされるのは心原性だ。「場合によっては突然死につながる可能性がある。私たちは心原性を見逃さないよう、注意して診察します」と古川さん。

 失神の前に胸の痛みなどを感じたか、家族に突然死した人はいないかなどを問診で確認し、心電図で不整脈の有無を詳しく調べる。ここで心臓の病気が見つかれば、ペースメーカーや除細動器の植え込みなど必要な手術や治療に進む。

 「一般に、心原性でなければ直ちに命に関わることはない。だが『自律神経の問題なので気にしないで大丈夫』と診断された後に失神を起こしたりして、不安を感じる患者さんは多い」

 そう語る古川さんは、同医大病院が二〇一二年に開設した、珍しい「失神外来」を担当してきた。国内では失神に詳しい医師が少ないことから「病院のどの科にかかればいいのか分からない」として、地方から受診する患者も増えてきた。

 どんな注意が可能なのか。失神に詳しい順天堂大練馬病院(東京)の住吉正孝教授(循環器内科)は「反射性失神は何らかの前兆があることが多いので、どういう環境で失神したか、倒れる前に体調や気分にどんな変化があったかなどを丁寧に確認するのが最も大切」と話す。それを知ることが再発予防につながる。

 一般に、長時間立ちっぱなしでいることや、満員電車などの暑い閉鎖環境は失神を起こしやすい。体調面では疲労を避けること。脱水は良くないので適度な水分や塩分を取る、過度の飲酒を避けるなどが大切という。

 過去の失神と似たような前兆があり「危ないな」と感じたら、その場でしゃがんだり、可能なら横になったりして頭を低く保つ。拳を強く握ったり、胸の前で両手の指を組んで左右に引っ張り合ったりする「アイソメトリクス運動」をして筋肉に力を入れるのも失神予防に有効とされる。

 

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