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【暮らし】

企業に広がるLGBT配慮 通称名を容認/同性にも配偶者手当

職場での経験を話すタツヤさん。ホルモン注射による治療で声が低くなり、体毛も濃くなってきたという=名古屋市内で

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 LGBT(性的少数者)の採用に積極的な中小企業が増えている。就業規則を変え、同性カップルに手当を認めるなど配慮。企業は「従業員の多様性を高めて誰もが働きやすい職場をつくりたい」と期待する。 (諏訪慧)

 「多様な価値観に共感してくれるような、考え方に幅があって優秀な人材を呼び込みたい」。従業員約百人の運送会社「大橋運輸」(愛知県瀬戸市)の鍋嶋洋行社長(48)は話す。

 同社は三月、就業規則を変更。LGBTの支援団体が発行するパートナー認定証があると“結婚”とみなして結婚休暇を取得でき、以降は男女の夫婦と同額の月五千円を配偶者手当として支給する。パートナーが死亡した場合は忌引なども取れる。体と心の性別が一致しないトランスジェンダーの人らが、通称名を仕事で使うのも認める。

 以前から小さい子どものいる女性や外国人らの働きやすさを心掛けており、「仕事に支障がなければLGBTとかは関係ない」と、これまでにLGBTの三人を採用。三人とも病気などで既に退社したが、六月には二人が入社予定だ。

 従業員二十六人の金属加工業「早川工業」(岐阜県関市)も、七月から同性カップルに配偶者手当や慶弔休暇を認める。

 発注元の注文に忠実に製品を仕上げるのが社風だが、製品やサービスにちょっとした工夫を施したり、独自製品の開発につながったりするようなアイデアを持つ人材を求めている。「そのためには従業員の多様性を高めるのがいいと思った」と大野雅孝社長(50)。LGBTだけでなく、障害者の雇用にも力を入れる。

       ◇

 六月十日午後一時から名古屋市中村区の名古屋国際センターで「ワーキング レインボー エキスポ」があり、両社を含む十社ほどがLGBTに関する取り組みを紹介する。一般参加も募っており、定員先着二百人。申し込みはホームページから。インターネットで「ワーキング レインボー エキスポ」と検索を。

◆トランスジェンダー 堂々と「僕」と言える

 LGBTはレズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(体と心の性別が一致しない人)の頭文字を取った総称だ。偏見に苦しむことが少なくないが、中でもつらい体験をしているのがトランスジェンダー。体は女性だが、心は男性のタツヤさん(22)=仮名、名古屋市=は周囲の無理解に悩んで退職した経験がある。

 「分かってもらえないのが苦しかった」。専門学校で介護福祉士の資格を得て、一年前に高齢者施設に就職した。職場には男女別の制服があり、「女性用の制服に違和感があった」。着替えは女性用の更衣室。下着は男性用を使っており、同僚に見られたくないので誰もいない時を見計らって着替えていた。

 「少しずつカミングアウトして理解してもらおう」と、上司に打ち明けた。すると返ってきたのは「周りの気持ちを考えたことがあるのか」。男性の心を持ちながら女性用更衣室を使っていたことを指摘され、「あなたに下心がなくても、嫌だと思う人もいるよね」と言われた。この職場で働いていく気力がなえ、ほどなく退職した。

 退職後の就職活動ではトランスジェンダーと打ち明け、面接などで「通称名で働きたい」と伝えた。十社近く回ると、要望を受け入れてくれる高齢者施設が見つかり、昨年末から働き始めた。前の職場では無理して自分を「私」と言っていたが、いまは堂々と「僕」と言う。今秋に計画する性別適合手術のための休暇を認めるなど、理解してくれているという。

 おばあちゃん子だったタツヤさんにとって、お年寄りの介護の仕事は憧れだった。「あなたがいてくれてよかった」と言われると何よりうれしいという。

 

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