東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

<リカちゃんと50年 私のパパ・ママ>(下) 空想の世界からリアルな存在に

 「身近に絶対いないような母親だったから、余計に憧れたんだと思う」。名古屋市千種区の会社員女性(53)も幼い頃、リカちゃん人形で遊んだ一人。リカちゃんと同じくらい憧れたのが、「織江」ママだ。

 ママの人形は、リカちゃん誕生から二年後の一九六九年に発売。テレビドラマなどでは、白い割烹(かっぽう)着姿の「お母ちゃん」が珍しくなかった時代。タートルネックのニットとパンタロン、茶色がかった髪の織江ママは斬新だった。三十三歳のパリに留学経験があるファッションデザイナーで、育児もスマートにこなす。

 「空想だと割り切れる安心感があった」と、女性は振り返る。

 一方、若いファンはどうか。同区の中学一年、杉下愛実さん(13)は、二年前に発売された六代目ママに親しみを感じるという。若者のトレンドファッションに身を包み、顔立ちは若々しく、リカちゃんの姉のよう。母親と「友だちのようでいたい」という愛実さんにとって、六代目ママは“ありえないママ”でなく、現実に理想とするママだ。

 ママのリニューアルは、リカちゃんの三回を上回る五回。母親像を研究する社会学者、栗山直子・追手門学院大経済学部准教授(45)は「時代ごとに女性が憧れた生き方が投影されている。リニューアルの多さは、社会における女性の立場が変化してきたことの表れ」と指摘する。

 例えば、初代のパンタロン。六〇年代末に盛り上がった、男性中心社会の変革を求める運動に参加する多くの女性がはいたことから、運動の象徴的なアイテムとなった。それを着こなし、男性と肩を並べて働くママは「かっこいい女性」の体現者だった。

 八五年発売の三代目からは、表情も初代のようなりりしさでなく、柔和さや若々しさが強調される。折しも、男女雇用機会均等法が制定された年。栗山さんは「ライフスタイルが多様化し、社会的、経済的な成功とは別に、自分らしい生き方への欲求が女性の間で高まっていった。『幸せな家庭』を理想とする女性たちもその一つ。若々しい見た目は、娘と心の距離が近いことを表している」とみる。

 夫婦共に働きに出ないと生活が苦しいのに、子育て環境は改善されない。そんな恨み節が列島の各地で聞かれる現代。「イライラして、子どもをつい強く叱ってしまった」と反省するママの声もしばしば聞く。織江ママの優しいほほ笑みは、ママたちにとって憧れよりももっと切実に欲しいものなのかもしれない。

<fromリカちゃん> ボンジュール(こんにちは)! ママはリカのお洋服も作ってくれるよ♪ リカも大きくなったら、ママみたいにすてきな女性になりたいな♪ ママから「いろんな人に会って、いろんなことを見て、いろんな体験をすると、すてきな女性になれるのよ」って教わったの。だから、リカは広い世界をみるためにたくさん旅しているよ!(タカラトミー監修)

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報



ピックアップ
Recommended by