東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

カードローンの利用は慎重に 無担保で借りられ追加も簡単

 銀行のカードローンの貸出残高が増え続け「将来、多重債務者が激増しかねない」との懸念が広がっている。日本銀行によると、国内銀行の貸出残高は二〇一六年度末で約五兆六千億円と一一年度末の約一・七倍にまで増えた。無担保なうえ追加の借り入れも簡単にできるため、借金漬けに陥りやすいとされるカードローン。東海地方に住む四十代のA子さんとB銀行の取引経過の資料をもとにカードローンの危険性を考えてみた。 (白井康彦)

 A子さんが初めてカードローンを利用したのは二〇一三年六月三日。B銀行と契約し二十万円を借り入れた。金利は年14・6%で、利用限度額は五十万円。現金自動預払機(ATM)で借り入れ、預金口座からの自動引き落としで毎月の返済をすることになった。

 最初の返済は四千円(表参照)で、翌七月一日に口座から引き落とされた。ただ、これで借金残高が十九万六千円になるわけではない。返済額に利息分と元金分があるからだ。

 利息分は、六月三日時点の借入残高の二十万円に、一日当たりの金利0・04%と経過日数の二十八日をかけた二千二百四十円。残り千七百六十円が元金返済分となる。返済額の半分以上が利息分という計算だ。

 しかし、利用限度額の範囲内であれば、何回でも追加で借り入れができるため、借り入れを繰り返し借金が膨らむ危険性は高い。A子さんもこの落とし穴にはまった。この年の七月三十日から数万円単位で追加借り入れを続け(同)、翌一四年三月二十八日には借金残高が、利用限度額に近い四十九万八千七百九十八円にまで膨らんだ。

 債務整理にくわしい弁護士や司法書士らは「多重債務者のほとんどは枠いっぱいの状態で返済、追加借り入れを繰り返す」と指摘する。

 A子さんも今年三月までの三年間、返済と借金を繰り返した。今年一月四日時点では、借金残高は四十九万六千十二円にまで膨らんでいたが、A子さんは「あと三千円なら借りられる」と考えたという。借金地獄に陥った人の共通の心理だ。これでは完済する日は永遠に来ない。

 最後の返済は今年三月一日で、借金残高は約四十九万円に。A子さんとB銀行の取引金額を合計したのが、表の最下段の数字。借り入れの合計額は約六十七万円で、返済合計は約四十三万円。このうち利息分が約二十五万円で、元金返済に回った分は約十八万円しかなかった。

 カードローンは、毎月の最低返済額を契約で決めるが、途中で増やすことも可能。銀行でカードローン業務を担当する三十代の男性は「借金残高をとにかく減らすことが大切。ボーナスを手にしたら、それを原資にしてなるべく多い金額で繰り上げ返済をすべきだ」と打ち明ける。

 A子さんの年収は、夫と合わせても四百万円未満。二人の子どもを抱え、学費などの費用がかさんだことなどが原因で、クレジットカードのリボ払いによる買い物やカードローンでの借金を始めたという。借入残高は増え続け、今年三月には信販会社や銀行など七社に合計で約二百三十万円にまで膨らんだ。

 「銀行カードローンやクレジットカードのリボ払いの危険性をもっと考えるべきだった」と後悔するA子さん。今年春に司法書士に依頼し、現在は債務整理の手続きを進めている。

<カードローン> ほとんどの場合は、担保も保証人もなく借りられる。消費者金融会社がこの商品に力を入れた結果、十数年前には多重債務者が200万人を超して社会問題化した。近年は、低金利を背景に経営環境が厳しい銀行が利幅の大きいカードローンに力を入れ、「年収証明不要」などと簡単に借りられる印象を強調した広告が目立つ。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報



ピックアップ
Recommended by