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【暮らし】

<家族のこと話そう>苦楽共に 夫は「戦友」 歌手・沢田知可子さん

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 結婚して二十一年の夫(58)=ミュージシャンの小野沢篤さん=と、いつでもどこでも一緒です。

 私たちは、旅芸人の夫婦のようなもの。夫はステージ上ではピアノを弾き、ステージを降りると、私のレコーディングやサウンドプロデュースをしてくれます。移動の時も宿泊の時も常に隣にいて、家では一緒にキッチンに立って料理を作ってくれます。

 夫婦といっても、母親と息子の関係に近い感じ。私が息子で、夫がお母さんです。誰かが家に来るとなると、ピカピカに掃除してくれるのも夫。私はすっかり夫に依存してしまい、もし明日、夫が死んでしまったら、生きていけないくらいです。

 出会いは、代表曲「会いたい」が売れ、初のコンサートツアーをするリハーサルでした。ヒット曲に恵まれても、まだ自分をどう表現していいのか悩んでいました。でも初めて彼のピアノと合わせて歌った時、「あれ? 私、やっと歌を上手に歌えてる」。自分の呼吸で歌えて、どんどん上手になっていく感じがしました。あまりに息が合うことに感動。自分らしさを引き出してくれる演奏に、この人はなんて素晴らしいピアニストなんだろう、と。

 彼も、私の歌にほれ込んでくれて、「沢田知可子をサポートするのが僕の人生です」と言ってくれました。苦しい時期もありましたが、一緒に壁を乗り越えました。「戦友」という感じが一番正しいですね。

 仕事では、「会いたい」を超えるヒット曲を出さなければ、という闘いが長く続き、何を歌っていいか分からなくなっていました。二〇〇四年の新潟県中越地震で、長岡市の人たちが「チャリティーコンサートに来て」と言ってくれた時も、私は人生どん底で、その勇気もなくて…。でも、そこで歌わせてもらったことが私の転機になりました。

 被災者の方が「会いたい」を聴いて、涙を流してくれたのです。私は気づかせてもらいました。皆さんが明日を生きるため、心の不安を鎮める歌を歌っていこうと。

 これを夫に話したら、「それでいこう。俺たち二人で回ろうよ」。「歌セラピーコンサート」と銘打ち、全国を回りました。本当にピアノと歌だけで。当時はマネジャーもいなくて、夫がマネジャー役でCDも売って。二人三脚でゼロから再スタートでした。このときの苦労が私たちの絆を深めました。「どんなに苦しくても、私には夫がいる」。そういう境地に立たせてもらいました。

 今はゆるやかに穏やかに、一日でも長く、一本でも多くのコンサートをやることが私たちの夢です。

 聞き手・砂本紅年/写真・安江実

<さわだ・ちかこ> 1963年生まれ、埼玉県出身。87年デビュー。91年「会いたい」で全日本有線放送大賞受賞。2000年には「21世紀に残したい泣ける名曲」として1位になる。今月21日、デビュー30周年記念アルバム「こころ唄〜BEST&COVER30〜」を発売。8月4日の誕生日に、東京都千代田区のライブハウス「COTTON CLUB」に出演予定。

 

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