東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

がんへの備え 家計運営も 不安除き、治療に専念

写真

 がんにかかる人が増えている。働き盛りで患うと、休職などで収入が減り、家計プランの見直しを迫られる。経済的な不安から治療に専念できないケースも出てくる。生涯で二人に一人ががんにかかる時代。がんの経済的リスクへの備えは重要だ。健康な時から、余裕のある家計運営を心掛けたい。(砂本紅年)

 今年一月、大腸がんの治療を始めて約一年になる四十代の男性会社員が、千葉市のファイナンシャルプランナー(FP)黒田ちはるさん(36)を訪ねた。

 「家族の生活は成り立つのでしょうか」

 男性は妻と中学三年の子どもの三人家族。住宅ローンも抱える。休職中で、健康保険の傷病手当金を月十五万円受けているが、受給期間は最長一年半。抗がん剤の副作用などで職場復帰の見通しが立たないまま、受給期間満了が数カ月後に迫り、不安になったのだという。

 黒田さんは一年後まで家計収支を試算。パートの妻が休職しても、貯蓄を残しながら教育費や住宅ローンも払える可能性を説明した。妻は「看病を優先できる」とほっとしていた。

 黒田さんは十年間、看護師として病院に勤務。経済的な不安から、治療に専念できない患者や、関係がぎくしゃくする患者家族と接してきた。「目の前のお金の心配が解消されると、治療に専念できる」と、黒田さんは結婚退職を機にFPの資格を取り、がん患者のための家計相談を始めた。

 働き盛りにがんを告知されたらどうすればいいか。最初に治療計画や病状がどの程度仕事に影響するか調べ、今後の働き方などの見通しを立ててほしいと黒田さん。がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターなどが相談先となる。

 医療費や当面の生活費が健康保険や民間医療保険から出る場合もある。NPO法人「がんと暮らしを考える会」がネット上で公開する「がん制度ドック」で検索すると調べられる。

 これらの基礎情報を得た上で、個別の具体的な就労・家計相談は、がん患者の支援に慣れたFPや社会保険労務士など専門家に任せたい。住宅ローンの支払いは、銀行と条件変更を相談してみるのも一案という。黒田さんは「体や心に無理のないやりくりが治療生活には大切。健康な時から利用できる制度を知っておきたい」と話す。

◆交通費、日用雑貨費も必要

 がんにかかると、どのくらいの費用が必要なのか。百万〜二百万円と計算する保険会社もあるが、がんの種類や進行度によって差があるのが実情。乳がんの闘病経験があり、今も年一回の定期検査を受けているFPの黒田尚子さん(48)は、診断を受けた二〇〇九年から現在まで総額三百三十八万円かかった。

 入院と手術などで費用の七割超を占め、うち乳房再建手術は保険外だったため百六十三万円もかかった。黒田さんは、民間の医療保険の入院給付金八十七万円と、見舞金三十五万円、医療費控除の還付金三十万円を充てたが、足りない分は預貯金で補った。「病気に備え、民間の保険に入り、預貯金もしていたので慌てなかった」

 黒田さんによると、医療機関に支払うお金は医療費だけではないという。入院時の差額ベッド代や食事代の一部などもかかる。また交通費、入院時の日用雑貨、ウイッグなど医療機関以外に支払う費用もある。医療費以外は原則、いずれも全額自己負担だ=CG参照。

 黒田さんは「医療費以外の費用は少額でも、積もれば家計を圧迫しかねない。家計簿を付けて、必要度に応じてそれぞれの費用に優先順位を付けてほしい」と話す。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報



ピックアップ
Recommended by