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【暮らし】

「引きこもり」の就活支援 自信回復が自立の一歩

庄野アナウンサーの話を熱心に聞く合宿の参加者たち=名古屋市内で

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 引きこもりから抜け出そうとする若者にとって、大きな壁となっているのが就職活動だ。もともと、引きこもったきっかけが就活の失敗だった人は、心理的な抵抗も強い。こうした若者たちに、相手との話し方を学ぶ合宿や、職場体験などを通じて、自信を取り戻してもらおうという取り組みが進んでいる。 (添田隆典)

 「緊張するとどんどん早口でしゃべってしまいますよね。そういうときは、相手がうなずくタイミングで一呼吸置いてみてください。落ち着いて話せるようになりますし、自分の言葉が相手に伝わっているかも確認できます」

 六月下旬の二日間、名古屋市内で「就活再起動」と銘打った合宿が開かれた。二十一〜三十一歳の男女十一人がリクルートスーツ姿で参加し、東海テレビの庄野俊哉アナウンサー(51)の話に耳を傾けた。

 参加した男性(28)は大学四年生のとき、デザイン関係の企業十社ほどの採用試験を受けたが内定は得られず、卒業から五年間、自宅に引きこもったという。両親の定年退職が近づいたことで再挑戦を決意。昨年、就活を再開したが、「面接で自己PRを求められると、体がこわばる」と打ち明ける。

 合宿では、庄野さんから面接で緊張せずに話すコツを学んだり、二人一組で相手の長所を発表し合う「他己紹介」に取り組んだりした。ニートや引きこもりの若者の就労を支援し、合宿を手がけた「なごや若者サポートステーション(サポステ)」=名古屋市北区=の鵜飼数正センター長(37)は「面接で失敗し続けると、自分をどう伝えていいか分からなくなってしまう。まずはそうした不安を取り除く必要がある」と狙いを話す。

 サポステは、厚生労働省が民間に委託し、全国百七十三カ所に開設した相談窓口。名古屋市では、若者の就労支援に取り組むNPO法人「ICDS」が二〇〇七年に運営を開始した。合宿は毎年二回開催しており、この秋には一カ月間の合宿も予定している。

 普段は、働くことに悩みを抱える十五〜三十九歳の人を対象にキャリアコンサルタントが面談を重ね、就職に向けた支援計画を組んでいる。履歴書の書き方やビジネスマナーの指導などもするが、重視するのは体験型のプログラムだ。地元のボランティア活動や職場体験に参加して最後までやりきることで、自信の回復を図っている。

 職場体験の取り組みは三年前に開始。本人の希望や適性を踏まえて建設や製造、サービス業などから体験先を選び、一日から数週間の期間、実習する。受け入れに協力する企業や事業所は名古屋市やその周辺の七十社。そのまま採用となるケースもある。昨年度はサポステを通じて百五十五人が就職。そのうち二十人が、職場体験先で職を得た。

 名古屋市東区の社会福祉法人「サンライフ」は昨年、職場体験を経て二十〜三十代の男女二人をパート職員として採用した。仕事の優先順位を判断するのが苦手だったり、報告や連絡といったコミュニケーション上の課題を感じることもあるという。ただ、「自分の持ち味を生かせる職場にようやく巡り合えたとの思いが強い分、姿勢は真面目。職場でフォローすれば問題なくやっていける」と、担当者は評価する。

<引きこもり> 内閣府の2015年の調査によると、仕事や学校に行かず半年以上自宅にいる15〜39歳の「引きこもり」の人は全国で推計54万1000人。引きこもり始めた年齢は「20〜24歳」が34.7%で最多。きっかけは「職場になじめなかった」と「不登校」が最も多く、次いで「就職活動がうまくいかなかった」だった。

 

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