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【暮らし】

<スマホと子ども>便利だけどどこまで頼ってOK? 「子守」正当化は危険信号

1歳のころからスマホを使い始めた男の子。一時は依存症も心配された=名古屋市で

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 子育てにスマートフォンを活用する親が増えてきた。公共の場でぐずった子どもに見せると泣きやんでくれたり、どうしても手が離せない時に見せるとおとなしくしていてくれたり。しかし、スマホを子どもに渡したことで親子の触れ合いが減ったり、便利なアプリに頼って子育てが手抜きになったりするのは考え物。子育てでのスマホ活用はどの程度にとどめるのがよいのか、考えてみる必要がありそうだ。 (細川暁子)

 「スマホに子守をさせて親は何もしなかったり、アプリ任せで手抜きしたり。スマホのせいで、子どもと目を合わせての会話が減っている親が増えている」。ネット依存に詳しい東京大大学院情報学環の橋元良明教授は危惧する。

 名古屋市内の会社員男性(46)は、「スマホ放置」の現場を見て驚いた。先月上旬のある晩、映画館で洋画を見たときのこと。暗くなった館内でチカチカする明かりに気付いた。光の出どころは、同じ列の十席ほど横。見ると、小学一年生くらいの男の子がスマホをいじっている。

 本編が始まっても、子どもはゲームをしているのか、手元を動かしながらスマホを見続けている。父か祖父とおぼしき五十代ぐらいの男性が男の子と一緒だったが、映画に夢中。結局、約二時間半の上映中、男の子はほとんどスクリーンを見ることなく、スマホを見ていた。

 会社員男性は「男性は、自分が映画を見たくて、子どもがおとなしくしていてくれるようにスマホを渡したのかもしれない。しかし、あれでは周りに迷惑だし、後で感想を話し合ったりできないのでは」と話す。

 スマホを手放さない子どもと、それを放置する大人。そんな光景は今、あちこちで見られる。しかし、小さなころから子どもにスマホを見せていたら、「依存症のようになった」と語る人もいる。

 名古屋市港区の母親(41)が小学一年の長男(7つ)にスマホを見せ始めたのは長男が一歳四カ月のころ。最初は電車の中など外出時に、少し見せる程度だった。だが双子の次男と三男(4つ)が生まれてからは手が離せなくなり、自宅で一日二〜三時間、長男にスマホを渡して、動画サイトを見せておく日が増えた。

 寝かしつけるときや、言うことを聞かないときには、鬼や妖怪から電話がかかってきて、注意したり脅かしたりしてくれるスマホアプリを重宝。画面に鬼の絵が現れると、長男は怖がりすぐに言うことを聞いてくれた。言うことを聞くように親が工夫するのが本来と思いながらも「これほど便利なものはないと、私も育児がスマホ頼みになっていた」と振り返る。

 ところが、四歳ごろから長男はスマホがないと機嫌が悪くなったり落ち着かなくなったり。母親は「依存症ではないか」と不安に思い始めた。保育園から帰るとすぐ、「見せて見せて」とせがんで、ダメと言うと泣き叫ぶ。義母(66)からも「スマホ中毒なんじゃない?」と言われて「これはまずい」と気付いた。それからは、子どもにはスマホを極力使わせないようにし、外出時には本を持たせるようになった。

 「当時、私自身もストレス解消で明け方までスマホで買い物や友達とのやりとりなどをしていた。大人でも依存しがちなのに、子どもがそうならないはずがないと思う」と母親は話す。

 橋元教授によると、小さなころからスマホを使わせると子どもがネット依存症になりやすいことを裏付ける研究はまだないという。ただ、親がスマホを使う時間が長いほど、子どもも長くなるという調査はある。橋元教授は、「スマホに頼って子どもに手を掛けない状況を、正当化して考えるようになったら危険な水準に達している」と指摘する。

 

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