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【暮らし】

増える「老老介護」世帯 「ともに75歳以上」3割超

鉅子さん(右)と面会し、談笑する俊明さん=愛知県春日井市で

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 高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の世帯が増えている。厚生労働省によると、二〇一六年には介護する人とされる人が同居する世帯のうち、ともに六十五歳以上なのは54・7%、ともに七十五歳以上という割合は30・2%。いずれも十五年前より10ポイント以上増えた。老齢での介護は体への負担が重く、介護する側まで倒れてしまわないよう、備えが欠かせない。 (出口有紀)

 「足は私より丈夫なくらい。元気な女房の方が長生きだったら、どうしよう」。愛知県春日井市の荻須俊明さん(82)は冗談めかし、同市の特別養護老人ホーム(特養)の廊下をずんずん歩く妻鉅子(きよこ)さん(79)を見つめる。

 鉅子さんは前頭側頭型認知症で、俊明さんが二年半、自宅で介護していた。しかし、昨年七月、鉅子さんをデイサービス施設へ送り出した後、足元がふらついた。ベッドに横たわると、立ち上がれなくなった。子どもらに連絡したがすぐには来られず、力をふりしぼって起き上がり、午後四時に帰宅する鉅子さんを迎えた。その日の夜に病院を受診し、栄養失調との診断を受けた。

 二カ月ほど前から、足元がふらつく自覚症状はあったが「女房の世話や家事で忙しく、受診する暇がなかった」と振り返る。鉅子さんが糖尿病を患い、食事制限があることも一因。「夜中に冷蔵庫を開けて何でも食べるので、鍵を掛け、家には食べ物を置かないようにした。おなかがすいても、女房の前では何となく食べられなかった」。荻須さんの身長は一七〇センチほどだが、倒れた時は体重四五キロだった。

 一人で自宅介護を続けるのは無理と判断し、近くのショートステイ施設に預け、特養にも申し込んだ。二カ月後、特養に空きができた。「偶然、ショートステイも特養も空いていてよかった」と話す。

 現在は週一度、自転車で二十分かけて、特養へ面会に行く。俊明さん自身も足を悪くし、立つことや歩くことが難しくなり、現在は要支援2。それでも「わがままを言っていた女房が、何も言わずに特養に行ってくれた。今は、自分は楽をしていると思うが、体は確実に悪くなっているので面倒を見るのは難しい。女房に申し訳ないし、自分が情けない」と嘆く。

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◆使えるサービス確認

 厚生労働省の二〇一六年の国民生活基礎調査では、要介護者がいる世帯で三世代が同居しているのは14%のみ。〇一年時点で32%だったのが、急速に減っていることがうかがえる。

 介護者の負担を減らすには、担当のケアマネジャーに相談し、使える介護サービスを確認するのが第一歩だ。自宅近くのショートステイ施設を探し、試しに利用しておいたりすると、万一の時に慌てなくてすむ。

 介護者が先だつ可能性も念頭に置くと、判断能力が不十分な人に代わって財産管理などをする成年後見人を決めておくことも必要だ。

 淑徳大の結城康博教授(社会保障論)は「子どもを持たない夫婦も増えている。遠方の親族らに直接の介護は頼めなくても、施設に入る時などに、身元保証してもらうことはできるかもしれない。日ごろから小まめに連絡することを心掛けてはどうか」と提案する。

 

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