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【暮らし】

<食卓ものがたり>町名由来 特産品の星に マコモ(三重県菰野町)

真っすぐに伸びるマコモを見せる大橋徳紀さん=三重県菰野町で

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 九月上旬、鈴鹿山脈のふもとにある三重県菰野町。秋空に手を伸ばすように、先のとがった緑の葉が真っすぐに生い茂っていた。

 高さ二メートルに成長するイネ科の多年草「マコモ」。食物繊維が豊富でビタミンなどの栄養成分を含み、葉の粉末を茶にして飲んだり、菓子の材料に使ったり。秋になれば黒穂菌の働きで根元の茎が膨れ、シャキシャキした食感の「マコモタケ」が収穫できる。湿地を好むため水田の転作作物として知られるが、菰野町ではふるさとを売り出す「広告塔」として生産される。

 なぜマコモが広告塔なのか。「菰野町の『菰』は、マコモのことなんです」。生産者でつくる「菰野の真菰(まこも)生産者会」の事務局を務める大橋徳紀さん(77)が教えてくれた。古代の菰野の地はマコモが生い茂る原野で、そこから町がつくられていったことが地名の由来といわれている。

 大橋さんは菰野で生まれ育ち、町役場で働いた。マコモとの出合いは教育長だった二〇〇四年。マコモの健康効果に注目した町内の薬剤師から、菰野と縁の深いマコモを栽培してはどうか、との提案が町へ寄せられた。大橋さんは「うちでやりましょう」と、自らの水田で栽培することを決めた。

 胸の奥にあったのは、農業振興の仕事を担当していた若いころの記憶。機械化の推進など地元の農業のために働いた自負はあるが、菰野ならではの特産品がなかなかつくれず、ずっと心に引っ掛かっていた。「地名の由来になったものなら、どこもまねできない」

 当初の栽培面積は十五アールほど。その後、町や商工会、県の後押しもあって機運が高まり、今では十三戸が約二ヘクタールで生産する。葉やマコモタケを使った商品も増え、菰野の発信につながっていると感じる。

 今年も九月下旬から、マコモタケの収穫期を迎える。「もっと広めて、菰野のブランドにしたい」。カマを握る手に力がこもる。

 文・写真 河郷丈史

◆味わう

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 マコモを味わうのにうってつけの場所は、菰野町の近鉄湯の山線中菰野駅近くの「道の駅菰野」だ。葉の粉末を使ったマコモ茶やスイーツ、マコモタケの粉末を練り込んだうどん、葉と茎でそれぞれ違う味を楽しめるジェラートなど約30種類の商品が並ぶ。9月下旬から取れたてのマコモタケの販売が始まる。問い合わせは、菰野町観光協会=(電)059(394)0050=へ。

 

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