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【暮らし】

マギーズ東京「一歩踏み出す」支援 がん患者、家族とともに1周年

マギーズ東京のリビングで語り合うイベント参加者と秋山さん(左から2人目)=東京都江東区で

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 がん患者や家族が安心して過ごせる居場所として、専門家の相談支援を受けられる施設「マギーズ東京」(東京都江東区豊洲)が10日、オープン1周年を迎える。センター長で看護師の秋山正子さん(67)は「訪れる人たちが一歩でも前に出られるようにと、この1年やってきました」と話す。(竹上順子)

 マギーズ東京は、英国発祥の民間施設「マギーズがんケアリングセンター」の日本第1号。がんと診断された人や家族らが好きな時に立ち寄り、看護師や臨床心理士らに、病気や生活のことを無料で相談できる。

 平屋の建物は採光窓も大きく、オープンキッチンやダイニングルームを備える。内装に木材をたっぷり使った室内からは小さな庭も見える。そんな温かで静かな雰囲気の中、がんのために混乱や孤独に陥った人たちが、対話を通じて自分自身や人生を見つめ直せることを目指している。施設運営などをすべて寄付金で賄っているのも特徴だ。

 がん研究会有明病院をはじめ、周りには複数のがん診療連携拠点病院があり、この1年間に延べ約3700人が相談に訪れ、これとは別に同約1800人が見学に訪れた。

 秋山さんは「医師に質問できないと悩んだ人が、ここでゆっくり話すことで自分の力を取り戻し、治療について医師と合意形成できるまでになった例もあった」と振り返る。

 相談者には、働き盛りや子育て中の若いがん患者も少なくない。秋山さんは「(患者が)ゆっくり話を聞いてもらえる機会がないとの声も多い。マギーズのような場所が本当に求められているのだと分かります」と穏やかな笑顔を引き締めた。

 オープン1周年を記念し、9月にはチャリティーイベントも開かれ、約30人が参加した。秋山さんをはじめ医療者や宗教者らの語りを集めた書籍「『生きる』を考える」(日本看護協会出版会)の出版記念も兼ねた。

 第1部は同書の執筆者3人によるトーク。乳がん患者らの語りをサイトで公開するNPO法人「ディペックス・ジャパン」理事の射場(いば)典子さん(54)や、患者と医療者をつなぐ団体「患医ねっと」代表の鈴木信行さん(47)が、自らの病気や障害から事業を発展させた経緯などを話した。

 第2部は「語りの場」。参加者が5グループに分かれ、自分の病気や仕事、生きる上で大切にしていることなどを話した。入社直後に難病の潰瘍性大腸炎と診断され、長年の休職を余儀なくされた鈴木淑恵さん(32)は「何も生み出せずに生きていることは、社会にとってマイナスではと悩んだ時期もあったけれど、復職してからは会社に行けるだけで幸せ。これからは患者として企業人として、孤立している人を支援したい」と打ち明けた。

 チャリティーイベントは十月九日にも行われる。秋山さんと英国のセンター長の講演、がん専門医らのパネル討論などがある。午後七〜九時、江東区豊洲二の豊洲シビックセンターで。会費三千円。先着三百人。五日までに申し込む。詳細はマギーズ東京HP(名前で検索)の「ニュース」から。問い合わせはマギーズ東京=電03(3520)9913=へ。

 

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