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【暮らし】

<家族のこと話そう>家族ぐるみ歌楽しむ 歌手・はいだしょうこさん

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 父はピアニスト、母は声楽家です。その両親の間に生まれ育った歌手というと、「幼少から音楽の英才教育を受けていたに違いない」と思われがちですが、音楽を強制されたことは全然なかったです。

 小さいころ、父とお風呂に入ると、タイルの溝を五線譜に見立て、お風呂でも使えるクレヨンで音符を描いて歌っていました。その時に音符を教えてもらったくらいです。

 父が教えるピアノの生徒さんが家に来る。演奏会に向けて父が夜中まで練習している。一日中クラシックが家に流れている。自然と私の中にもしみいったのかもしれません。クリスマスや家族のお誕生日は、ちょっとしたミニコンサート。父のピアノの伴奏で私も母も姉も歌うんです。

 もともと、私は引っ込み思案でした。そこで、両親は考えました。何かこの子に表現できるものはないかと。私をよく観察して、歌を歌っている時だけは前に出るということを発見したらしいのです。「この子に歌わせてみたら自分を表現できるんじゃないか」と思ってくれたのがきっかけで、両親は全国童謡歌唱コンクールに応募したのです。その時に舞台の上で歌って、皆が拍手してくれ、喜んでくれる。それが本当にうれしかったと感じたのです。

 もう歌うことしか考えられなくなりました。夢は宝塚に入って歌うこと、NHKのうたのおねえさんになること。そして幼稚園の先生になること。その時に夢が決まり、それ以外に目が行かなかった。

 その頃から作曲家の故・中田喜直先生に教えていただくようになりました。先生の奥さまからも発声法のレッスンを受けました。「波浮の港」や「夏の思い出」「早春賦」などを歌いました。

 その後は宝塚音楽学校で音大出身の先生について、クラシックの発声を習いました。その時から、子どもの歌からオペラまでと発声の幅が増えたなと感じました。母も声楽家ですのでアドバイスをもらったりもしました。今でも指導を受けています。「のどに力が入っている」とか、「ここはこういうふうに持っていった方がいい」など、いろいろと教えてもらっています。

 たまに私の意見を言ってぶつかることもありますが、やはり母は私をよく知っているので、母の言っていることは全部当たっていますね。

 先日、念願だったCDを出しました。金子みすゞさんの詩に作曲された中田先生は、生前「大人になったら全曲歌ってね。しょうこちゃんの声にとても合っていると思うよ」とおっしゃっていました。それが中田先生と私との最後の約束です。父が弾くピアノの音色と共に、私の歌声が天国にいる先生に届くようにと願っています。

  聞き手・三浦耕喜/写真・高嶋ちぐさ

<はいだ・しょうこ> 1979年東京都生まれ。98年、宝塚歌劇団入団。退団後、NHK「おかあさんといっしょ」で第19代「うたのおねえさん」に就任。今年10月、金子みすゞの詩による童謡歌曲集「ほしとたんぽぽ」をリリース。12月21日にはキリスト品川教会グローリア・チャペル(東京都品川区)でコンサートを開く。個性的なイラストを描くことでも知られる。

 

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