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【暮らし】

心房細動 変化見逃さずに、自分で脈取りを

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 心房細動は、心臓の拍動が乱れてしまう不整脈の一種だ。心臓の働きが悪くなって心不全などのリスクが高まるほか、心臓の中にできた血の塊「血栓」がはがれて血管内を運ばれれば脳梗塞につながる危険がある。一方で心房細動は、自覚症状が乏しく見つかりにくい病気だ。専門家は、自分の脈を取ってみて変化に気付くことが大切だとしている。 (由藤庸二郎)

 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)心臓血管内科部門・不整脈科の草野研吾部長によると、心臓は右心房にある「洞結節(どうけっせつ)」という部位からの電気信号によってリズミカルに拍動する。しかし心房細動では、左心房側の別の箇所から余計な電気信号が出るようになり、この信号が左右の心房を渦巻くように巡るため、心房が一分間に数百回、けいれんするように動く。体に血液を送り出す心室は、この電気信号が「房室結節(ぼうしつけっせつ)」という中継点を通る際に調整されるため、心房細動であっても比較的落ち着いた心拍数となる。

 自覚症状は「どきどきする」「胸が苦しい」「階段を上るのがきつい」「息が切れる」など。ただ「全く症状がなく長期間気付かないことも多い。心房細動が起きている人の約40%は自覚症状がない」と草野さんは注意を促す。

 この病気では、心房内で血がよどみ、血栓ができやすくなることが知られている。それがはがれて運ばれ、脳の血管に詰まる「心原性脳塞栓(そくせん)症」は、脳梗塞全体の約三割を占め、近年その割合が増加しているという。

 草野さんによると、治療は抗不整脈薬や血栓をできにくくする抗凝固薬を服用。さらに根治のために、血管から挿入したカテーテルを使って誤信号を発する箇所を高周波電流で焼くなどする「アブレーション」も選択肢だ。国内では年間六万例を超える実績がある。

 同センターの小久保喜弘予防健診部医長によると、センターでは一九八九年から地元吹田市の協力を得て、住民基本台帳から三十〜七十代の男女を無作為抽出する方法で大規模な疫学研究を実施した。

 同意が得られて、研究のための健康診断や検査を受けてもらった人を二〇一五年末まで追跡した結果、期間中に六千四百八十五人中三百十一人が心房細動を発症した。小久保さんらは、年齢や性別などの影響を考慮すると一年間に全国で四十五万人が発症すると推定している。

 この研究で、心房細動の危険因子が明らかになった。「高齢」「男性」「血圧の上が高い」「喫煙」「過度の飲酒」などで、これらの複数項目に当てはまる人は要注意だ。同センターでは自分で十年後の心房細動の危険性を採点できる予測スコアも開発し、ウェブサイトで公開している。

 早期発見のために小久保さんが勧めるのが、めまいやふらつき、動悸(どうき)などに気付いたら自分で脈を取ってみること。脈の取り方を図にまとめた。心房細動になっている場合、脈拍は強弱がばらつき、速い脈、遅い脈が不規則に繰り返される。この際、同時に血圧が上がることもある。脈拍が一分間に五十回未満、または百回以上になっていたり、一日の中で大きく変動したりするときは、かかりつけ医に相談することが望ましい。

 

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